or思考 ではなく and思考
今日から9月ですね。
カレンダーの暦が9月になっただけで昨日までとは何ら変わらないと思いつつも、なんとなく湿度も気温も下がっているように感じてしまいます。
そしていよいよ秋に突入、季節指数からも一年で最も落ち込む季節に入ります。
下表は㈱SUNTACさんの業界横断データ「TRYSEM」より、コロナ禍前の2019年における4円パチンコの月別アウトを表したもの(6月→5月)です。オレンジ線が季節指数を示しており、これから先の季節が年間で最も厳しいものであることが一目瞭然でしょう。
自店にこない遊技客を間接的に把握するために必要な市場統計。
しかし、母集団が偏りの大きい統計データでは、その意味が薄れます。
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現状でもなかなか客数が戻る気配が感じられない厳しい環境の中、今回は「これからの3か月間に打つべき施策、考え方」をお伝えしようと思います。
■ 「玉粗利or稼働」の or思考
私はこれまでこのサイトコラム、また各種業界記事で常に「利益の確保が稼働につながる」ということをお伝えしています。「利益があるからお客様の満足度向上を図れるのであり、まずは適正な(必要な)利益の確保をしてほしい」という内容です。
【参考記事①】 → 利益を上げることが、お客様の満足感を上げることにつながる
【参考記事②】 → 利益を増やせば、稼働は伸びる
ただ、利益の確保を優先するとは言っても闇雲に利益を求める営業では稼働の落ち込みを招いてしまいます。ここで必要なのは、「利益を求めるために、稼働を求める」という考え方です。
一日当たりの利益は「台あたりの粗利(台粗利)×台数」で計算でき、一日の粗利×日数で月間粗利が作られるわけですから、すべての計算のベースは台粗利ということになります。
台粗利の計算は「玉粗利×稼働」なので、例えば台粗利として2,400円が必要だとすると、
・玉粗利0.20円×12,000発稼働
・玉粗利0.30円×8,000発稼働
・玉粗利0.40円×6,000発稼働
・玉粗利0.50円×4,800発稼働
というように考えられる組み合わせは無限にあります。
このときに「利益を増やしたい」と考えた場合は、構成要素である玉粗利か稼働を上げれば必然的に台粗利は増えていきます。
(1) 玉粗利を上げる
ここで玉粗利を上げることを考えてみます。
玉粗利はアウト1発当たりの利益なので、玉粗利を上げる=お客様は同じアウト数でより多く負けることを意味します。
例えば同じアウト6,000発(1時間の遊技)だとして、
・玉粗利0.20円→1,200円の負け(0.20円×6,000発)
・玉粗利0.25円→1,500円の負け(0.25円×6,000発)
というようにこれまでと同じ時間遊んだとしても負ける金額が増えることが分かります。これではお客様の負担が大きくなるので稼働には悪影響がでてきてしまい、短期的には利益増加の効果が得られても、長期的には稼働の低下により「玉粗利×稼働」の掛け算の結果としての台粗利が下がる恐れがあります。
上記の計算で言えば、玉粗利を0.25円にするならば稼働は4,800発を下回ると台粗利は1,200円を下回り(0.25円×4,800発=1,200円)、その足りない分を補填しようとさらに玉粗利を上げて、一時的には1,200円を超えてもまた稼働が下がり、どんどんん玉粗利が上がるループから抜け出せなくなります。
(2) 稼働を上げる
次に稼働を上げることを考えてみます。稼働を上げるということは、言い換えればお客様から支持される状況を作るということなので、
・店内環境を整備する
・店外に自店を訴求する
などの手法が考えられます。
具体的には清掃、接客、ランプ対応スピード、わかりやすい配置、販促、広告宣伝、駐車場整備など「お客様に快適に遊技していただける環境を作ること」となります。
これらは短期的な効果は見えにくいですが、長期的には「お客様の支持を得るための努力」なので必ず効果が出てきます。
■ or思考 を捨てれば、利益と稼働は両立できる
利益を増やすためにできることは上記のように2つの方向がありますが、どちらがよりお店の将来のためにすべきことかは明白です。
つまり、利益を増やすためには稼働を増やす努力が不可欠であり、だからこそ利益と稼働は密接につながっているのです。
利益を増やそうとした場合、これまではどうしても遊技機メンテナンスという手法を重視してきました。
そしてそれでは限界がある(稼働に悪影響が出る)ので、リセットの意味合で新台入替やイベントで対処してきました。
しかし、遊技機の魅力の低下やイベントの事前宣伝規制などでその対処事態に効果が薄くなっている現在、利益を増やすためには稼働に目を向けるべきなのです。
これまで、稼働向上を図ろうとした場合はまず「放出」を軸に考えたと思います。これは稼働の向上を遊技機メンテナンスで対処しようしているからであり、そのため利益の減少がセットになってしまいました。
しかし今回の考え方では遊技機メンテナンスによる放出は考えないところがポイントです。遊技機メンテナンス以外でお客様の支持を得ることを考えて実行する、これによって稼働と利益のどちらも向上させる取り組みとなります。
「どちらか」ではなく「どちらも」、これからの営業ではこの考え方で取り組んでほしいと思います。「稼働を上げるためには、利益を取る。その利益を上げるためには稼働を上げる。」です。