秋の営業戦略
9月に入りました。
これからの時期は例年客数が低下傾向になるので、そうなるといろいろな仕掛けでできるだけ落ち込みを少なくしよう、底支えを考えよう、とするものだと思います。
■ 秋の営業戦略 は冬のために行うもの
さてさて。
先日支援先にてこの秋の仕掛けについて相談がありました。
具体的には、
・秋の稼働低下対策として設備の見直しをしてみてはどうか
・椅子の張替えと、右手置きの導入はどうだろうか
というものです。
確かに椅子はそろそろ変えてもいい頃合いであり、各台計数なので右手を置く台があると遊技の快適性も向上しそうです。この施策の導入自体はほぼ決定であとは「時期の選定」だけとなりました。
① 9月の3連休前
② 9月の3連休後
③ 10月の年金前
④ 10月の年金後
⑤ そのほかの時期
このような案が出てたうえで「さてどうするか?」を話し合ったところ、お店の意見は、
・そのほかの時期で、11月
となりました。
・9月は連休もありまだ夏の勢いもあって乗り切れそう
・10月は年金支給もあるので乗り切れそう
・11月は3連休もあるが例年、最も落ち込む時期だろう
という予測からです。
お店としては最も落ち込む時期の対策を重視する考えがありました。この考えにもそれなりに説得力がありますが、「投資効率」という観点で考えると、「他にもっといいタイミングはないか」と考えたいところです。
「SWOT分析」という考え方があります。簡単に解説すると、
・自社の強み(S)、弱み(W)、機会(O)、脅威(T)を列挙して、各々を重ね合わせて方向性を導き出す
という考え方です。
例えば「強みを機会に重ねると、良い部分を良い時期に投入するので効果が高そうであり、強みがあっても悪い時期に動いては効率が悪そう」と考えることです。
さてこの考え方(戦略)を実際の行動(戦術)に落とし込むことになりますが、まずは戦略の基本は「機会(チャンス)に仕掛ける」です。
その意味で今回の施策(椅子の新調と右手の台設置)をいつすべきか?と聞かれたらそれは「最も反応のよさそうなチャンスのあるとき」であり、上記の時期の中で選ぶとするなら「⑤のその他の時期で、12月中旬」ではないかと思います。(9月~11月はすべて「脅威」の時期だから。)
もちろん秋の落ち込みに対する不安もあるかもしれません。
しかしせっかくの投資はマイナスの補てんではなくプラス部分を伸ばすために行うべきです。
「秋の対策」というのは本来、お盆前から始めているべきことです。お盆前に伸ばす方向で何らかの施策を打ち、それで結果的にお盆後に落ちたとしても、これまでより高いレベルに落ち着くことになるのでその数字が今後のベースになります。
落ち込んだ時の底上げを主眼とするのは維持が目的となり、伸ばすことはできないです。この意味で、「施策」を打つのは良い時期の前、今から考えるなら「年末営業の前」となります。
■ SWOTはいろんな決断で応用できる
このSWOT分析、いろいろな場面で判断基準に使えます。
例えば入替という戦術。
入替は稼働が低迷したり利益確保ができていなかったりする機種を差し替えるため行います。
この視点で考えれば入替は「弱みを補う戦術」といえます。
上記のとおり一般的に戦略は強みを伸ばすことを優先したほうが効率が良いので、その意味で考えると入替の優先順位は低くなるはずです(もっと、強みを伸ばすことに投資をしたほうが良いはず)。
入替を戦術の柱にしてもなかなか業績アップにつながっていないのはこういったことから至極当然のことといえるでしょう(ちなみに過去において入替に効果があったのは、入替自体が「強い施策」だったからです)。
現在は仕掛けをしてもなかなか効果が得られなくなっています。
だからこそ、できるだけ効率を考えて、弱みではなく強み、底上げではなく伸ばすこと、良くないときではなく良いとき、を意識して施策を打つようにしてほしいと思います。
秋=良くない時期は守りの時期、と捉えてください。