玉単価 に変化あり!?
私は毎日支援先から閉店後のデータをもらって様々な角度からチェックをしています。
そんな中、特に10月に入ってからの「ある変化」が気になりました。それは玉単価の変化、もっと言うと「玉単価の上昇」です。
そしてさらによく見ると玉単価の上昇は高貸玉、具体的には4円パチンコ及び20円スロットで見られており、さらに平日の営業でその傾向が顕著でした。
まとめると、
・10月に入り、4円&20円の平日営業で玉単価が上昇している
ということです。
そしてこの傾向は特に都市部の店舗で多く見られています。
果たしてこれは何を示す兆候なのでしょうか。
■ 玉単価 の上昇、これは夕方以降の客数増によるもの
店舗データではなく人数調査表でも面白い傾向が見て取れました。実は10月以降の人数調査において、夕方以降(だいたいどのお店でも19時の人数を記載しますね)の客数に増加傾向がみられるのです。
これらのデータから一つの仮説が導き出されます。それは、
・緊急事態宣言が解除されたことで、会社帰りのパチンコ遊技意欲が喚起されているのではないか
ということです。
■ 博報堂生活総研リリース「消費意欲指数」も増加傾向を示す
大手広告代理店の博報堂のグループ会社である「博報堂生活総合研究所」がリリースしている資料の一つに「消費意欲指数」というものがあります。
これはモノを買いたい、サービスを利用したいという欲求を100点満点で回答してもらった集計値で毎月公表しています。
この指数の11月版が10月26日に発表されました。
博報堂生活総研「11月の消費意欲指数」
https://seikatsusoken.jp/shohiyoho/2021-11/
緊急事態宣言解除の影響もあり、11月の消費意欲指数は 緩やかに上昇。男性の意欲向上が目立つ
POINT1 コロナ禍の制限緩和や不安軽減で、消費への消極的な意識がやわらぐ
例年11月は、年末年始を控えて消費意欲指数の変動が少ない月ですが、今年は前月比+1.8ptとやや増加しました。
また、前年比も-0.9ptの微減にとどまり、コロナ禍の反動で指数が過去5年の最高値となった前年11月に近い水準となっています。
コロナ禍に関連した回答をみると、消費にポジティブな回答は前月から3倍近くに増加(10月32件→11月90件)、ネガティブな回答は大幅に減少(10月211件→11月118件)し、コロナ禍が本格化した昨年4月以降、初めて両者の差が大きく縮まりました。
具体的には、消費にポジティブな回答で「緊急事態宣言が明けたので (10月0件→11月44件) 」が多くあがったり、消費にネガティブな回答では「コロナ禍で外出、買物できない・自粛(10月94件→11月38件)」 「(コロナなど)病気が怖いので出かけたくない(10月68件→11月43件)」などが減っています。
緊急事態宣言が明けたことや、コロナ禍の不安が減ってきたことで、消費への消極的な意識がやわらいでいるようです。
ただし、指数が大きくは上昇していないのは、「年末に向けて節約(10月8件→11月36件)」といった節約意識の影響も考えられます。
POINT2 特に男性の消費意欲が向上し、カテゴリー別では「旅行」が前月比増
また、消費意欲指数を男女別にみると、前月比で男性は+3.6pt、女性±0.0ptと、男性は2ヵ月続いた減少傾向に歯止めがかかって大きく上昇し、女性は10月に高まった消費意欲指数を維持しています。
また、「特に買いたいモノ・利用したいサービスがある」人の割合は26.9%で、前月比-0.9pt、前年比-0.4ptとともに微減していますが、前月比を男女別にみると、男性+1.2pt、女性-3.0ptで、消費意欲指数同様、男性が増加しています。
さらにカテゴリー別の消費意向は、前月と比べて「旅行」が20件以上増えており、これは男性における増加が主(前月比+38件)で、11月は男性の消費意欲の高まりが期待できそうです。
https://seikatsusoken.jp/shohiyoho/2021-11/
この資料で注目したいコメントは以下の部分です。
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ポイント①
「コロナ禍の制限緩和や不安軽減で、消費への消極的な意識がやわらぐ」
~中略~
緊急事態宣言が明けたことや、コロナ禍の不安が減ってきたことで、消費への消極的な意識がやわらいでいるようです。
「ポイント②
特に男性の消費意欲が向上し、カテゴリー別では「旅行」が前月比増」
~中略~
男性における増加が主(前月比+38件)で、11月は男性の消費意欲の高まりが期待できそうです。
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「11月の消費意欲指数」というタイトルですが、アンケート自体は10月に実施しています。(発表は10/26)
つまり11月に向けて、今、感じている意欲を表していることになります。そして特に男性で消費意欲が高まっていることがわかります。旅行等の意欲が出始め、「そういえば最近行っていなかったパチンコにちょっと足を運ぼうかな」、そういった気持ちが表れているのではないか、と推測しました。(「旅行」は来月=11月の意欲)
例年、11月は一年で最も厳しい月とされています。これはパチンコ業界のみならずほぼすべての業界が同じ傾向を示すもので、寒さが厳しくなって気持ちがなんとなく冷え込むこと、年末年始を控えて出費を考えづらいことなどが要因とされています。
ところが今回は「緊急事態宣言が解除された、コロナ禍がひと段落した」という解放感があります。そしてそのような行動をしていると思われるデータが出ています。
これを機会と捉え、そのための行動を起こさないというのは非常にもったいないことでしょう。
では何をすべきでしょうか?
■ 「 玉単価 上昇」から見えるこの機会を活かすために考えること、すべきこと
まずどんな「機会」かを整理します。
データ上で見られる傾向は「高単価部門、平日、夜に伸び」、これに上記消費意欲のポイントから「男性客の消費意欲上昇」が加えられます。
このデータから推測されるのは、
・4円または20円部門で、
・短い時間にちょっと勝負を考えている、
・サラリーマン層(※日中は仕事)
というペルソナになりそうです。
1パチ、ジャグラー、海物語等、常連主体の機種ではなく、また甘デジのような時間のかかる機種よりも「より射幸性の高い、勝負の早い」機種が上記ペルソナに刺さりそうではないでしょうか。
さらに一時期パチンコから離れていた層がターゲットになっている(と仮定する)ならば、そういった遊技特性、スペックの機種のアピールと誘導で打ってもらえる可能性が高まりそうです。
これまでの王道と呼ばれる営業は海、ジャグラー、定番機種(北斗、牙狼など)の強化でした。イベントを含め強化をこれら中心で行うのは「強みを伸ばす」という戦略の基本に沿ったものでもちろん正しい方向性です。
その反面、これら定番以外の機種にはそれほど細かな扱い方をしない傾向があります。
今回はちょっとした機会が訪れています。もちろん上記強化機種はそのまま強化を継続で良いと思いますが、この機会に定番機種以外の扱い方も変えてみてはいかがでしょうか?
メンテナンスもそう、販促の掲示もそう。
日々の営業、小さな変化も見逃さずに、です。
(了)