毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
今日は5月10日、2023年度がスタートして1カ月、ゴールデンウィークも終了です。気持ちも新たにがんばっていきましょう。
さてそうは言っても業界を取り巻く環境がいきなり変わるものではないです。
相変わらず稼働低迷に苦しみ、大金を出して新機種を導入しても現状維持が精いっぱいといったところです。そうなると考えることは、
・機械に頼らない営業の追求
となるでしょう。
しかしこれができるなら話は簡単であり、そもそもできるなら現状に甘んじていることもないはずです。
パチンコ店にとっての「機械」は一般の小売業でいえば「商品」であり「機種構成」は「商品構成」と同じ意味です。
欲しくもない商品ばかりを並べたお店では誰も買い物をしません。
この意味で「機種構成」は絶対に重要な要素なのです。機械には頼らないといけないのです。
「過去のこの連載では、機械に頼った営業はできない、と言っていなかったか?」
このように思った方、違います。それは「入替」に頼ることはできないという話です。
・入替で新規客を振り向かせることは、無理。
・入替で他店から客を取ることは、無理。
・入替で商圏内のパワーバランスを変えることは、無理
つまり「入替は外部環境に働きかける契機にはならない」という話です。
そもそも「入替」は何のためにするのか、です。
過去には「入替で新規客の来店動機を作る」という考え方もありましたが、現在では上記のようにその役割はほぼないといっていいでしょう。
今の入替は「古くなり魅力が薄れた商品の差し替え」であり、既存客にマンネリ感を持たせないために行う施策になっています。そして、だからこそ導入する機械の「質」にはこだわるべきです。
ここ数年は一部のビッグタイトル機種を除けば総じて小粒な機種ばかりという状況です。
中小規模のホールではそういったビッグタイトル機種がなかなか入らないこともあり、「ビッグタイトルが入らないならほかの何を選んでも大差ない」として価格で選ぶ傾向があります。
また「ビッグタイトルを1台購入するなら同じカネで中古を2台購入する」など「質より量」という傾向もあります。
確かにそういった施策が有効に働いた時もありました。(実際私も支援先にそう言った提案をしていた時期もありました。)
しかし時代は変化するものです。
現在は一部の人気機種“だけ”に稼働が集中し、目先を変えた機種を導入しても稼働がつきません。これこそが顧客の“今の”声でしょう。
マーケティングに「プロダクトアウト」と「マーケットイン」という言葉があります。
・プロダクトアウト・・・「製品押し出し」ということで、売り手の考えで商品構成や売り出し方を決めること
・マーケットイン・・・「市場から取り込む」ということで、買い手の気持ちを考えて商品構成や売り出し方を決めること
という意味です。買い手のニーズがわからない状況ではプロダクトアウトで顧客へこちらの提案を訴求していくべきですが、ニーズがわかるならばマーケットインでそのニーズを汲み取るようにすべきです。
そして機種構成に関しては「マーケットインの汲み取り」ができるはずです。
「機種構成」は店舗の質を図るうえで非常に重要な要素です。導入が遅れても構いません。また台数は少なくても構いません。自店の集客力に合わせた台数でいいので、「あるべきものが、ある」お店にしていってください。
(了)