毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
明日から6月です。ここまで今期スタート2か月はどのようなものだったでしょうか。稼働が厳しい、もちろん利益も厳しい、そんな中でも何とかやっている、そんなお店が多いかと思います。
その「なんとかやっている~」というのは、実際に店舗でオペレーションをするのは現場のスタッフです。そのスタッフがモチベーション高く頑張ってくれないとお店の士気は上がりません。今回はそのスタッフに関するお話です。
あるお店のお話です。
このお店は新人が入ってきてもすぐに辞めてしまい、恒常的に人手不足でした。
そうなるとそれなりに経験のあるスタッフはほとんどおらず、最初に少しの説明があった後は満足な教育もなくいきなり現場投入となります。
つい最近にはなんと、入店1週間のスタッフが新人に業務説明をする教育係になるという事態まで発生しました。
これは大問題です。もちろん私は「これはいけない」と店長に注意をしたのですが、「人員不足なんだから仕方がない」という言い訳で押し切ろうとします。
さてこの事例、どこにどんな問題があると思いますか?
「人手不足解消のためにできることをちゃんとしていたのか?」
「シフトの組み方に問題があるのではないか?」
「接客という仕事を軽視し過ぎではないか?」
など、いろいろ問題が浮かびますね。
しかし上記はどれも「結果、事象」です。本当の問題点はもっと奥深いところにあります。
本当の問題点、それは「このお店の社風、風土、根本の考え方に問題あり」という点です。
そして問題となった「風土」は「自分優先」です。今回の事例でいえば、
・接客レベル維持と、シフトの都合のどちらが優先されたか。
・教育を任されるスタッフの不安と、シフトの都合のどちらが優先されたか。
・教育される新人の今後の成長と、シフトの都合のどちらが優先されたか。
で、全てにおいてシフトの都合を優先しています。
つまり「相手よりも自分を優先する」ことが風土となっているのです。
もちろん、この店長も入店1週間のスタッフが新人教育をすることが正しいとは思っていないはずです。
しかし、シフトの手当てをすることよりもスタッフに無理を強いることで目の前の難局を乗り切ろうとしており、「何が正しいか」の認識がずれています。
「風土」というものは様々な場面で出てきます。今回の事例ではスタッフ教育の場面でこの風土が現れたのですが、このお店の風土は「自分優先」なので、例えば入替、例えばイベント、例えば調整などなど、すべてが「自分の論理が出発点」となってしまいます。
そうなるとお客様はこのお店に魅力を感じなくなり、稼働が落ちていくでしょう。まさにプロダクトアウト、業績低下へ一直線!です。
風土、社風というのはこれまでの蓄積で出来上がってきたものでありなかなか変革させることは難しいかもしれません。
しかし、現在の状況は過去行ってきたことの結果です。
今の結果はこれまでの自分、会社、お店の考えに沿った行動の結果で出来上がっています。
だからこそ、今まで当たり前だと思っていたことの一つ一つについて考え直してみてください。風土を変えないと、いつまでたっても脱却は不可能ですよ!
(了)