支援先のホールさん、またそのほか仕事上でお付き合いのある方と話をすると、皆さん苦笑しながら「最近よかったな、と言える機種はPリゼロまで遡るんじゃないかな・・・」と言われます。
私もそう思いますが、Pリゼロが登場したのは2022年の1月です。そうなると「ヒット機種」がもう1年半も出ていないことなりますね。あらためて、特にパチンコにおいては新台入替で業績向上、新規客の呼び込みを図るというのは難しい時代だと感じます。
もちろんスロットではL北斗というビッグヒット機種があるので「まだまだ、パチンコだってわからない」と言えるかもしれません。しかし結局ビッグヒット機種が登場しても競合も同じように考えるわけなので「横並び」です。
結局、入替に限らず施策全般に言えることは、
・どのようなことを行っても、新規客を呼び込む(増やす)ことは大変難しいということ
です。
つまり「何が何でも新規を増やそう」と考えていても結果は得られないので、ここは頭を切り替えて「既存客中心で業績を回復させる」と考えるべきです。
特に現状が厳しいお店では、そもそも新規客を獲得する力があるならば今の状況はなかったはずです。「1:5の法則」にもある通り、まずは既存客の維持、関係性の強化を考えるべきでしょう。
※「1:5の法則」・・・新規客獲得には既存客維持の5倍のコストがかかるという法則。
既存客の維持、関係性の強化を図るという事は、
・来店回数を増やすには、どうすればよいか?
・滞在時間を長くするには、どうすればよいか?
を考えることになります。
もちろんこれらを達成するには店舗オペレーション等も重要ですが、「商品力」という観点からは既存設置機種も重要な管理点です。
そして既存設置機種の商品力向上には細かいデータ管理を徹底することが求められます。
データを管理するというのは一義的には、
・数字という結果が示す現状を確認する
ということとなります。
しかしデータ管理をこのように捉えている限り、数字は「与えられたもの」となり接し方が受動的で「管理するための資料」としての域を超えることはありません。ここで、与えられた結果としての数字を「改善するための資料」と捉えることによって、数字は能動的にコントロールしていくものであるという意識が働きます。
データ管理に限らずすべての業務は業績向上のために行うわけであり、その中でも特に数字の管理は売上、利益に直結する業務になります。だからこそ結果を捉える指標としてではなく、問題点や課題点を示している指標としての「活用」が求められます。
例えば玉単価という指標があります。玉単価は「台売上÷台当たりアウト」で求められる「アウト1発当たりの売上」であり、遊技でのお客様の負担感を表します。
※10,000発の遊技で玉単価1.0円なら10,000円、1.5円なら15,000円の台売上になり、同じ稼働(遊技時間)において玉単価の高低で遊技中の負担感の違いがわかる。
玉単価が高ければ同じ時間を遊技したときに使用しなければいけない金額が多くなるので、玉単価を低くすれば同じ予算での遊技時間が伸びることになります。
そして玉単価を低くするには持ち玉遊技時間を伸ばしてあげればよく、そのためにはできるだけ早く大当たりをさせればよいことになり、シンプルに考えればスタート回転数を上げることで達成できます。
しかし単にスタートを上げるだけではいろいろな問題があります。そこでベースとスタートの関係を計算して問題の解消を図ることになります。自店の客滞率を確認し、その条件下でスタートとベースの組み合わせを計算する、つまりシミュレーションを行うことで導き出せます。また玉単価を下げることを志向すると、持ち玉に早く移行させることにつながることから必然的に客滞率の上昇という効果も得られます。
これらは「感覚的に」はその通りだと思うかもしれませんが、これを「計算で」行うことに意義があります。しっかりと数字を使って判断する、これが「データの管理を実践する」ということなのです。
ホールコンピュータを見ればすぐにいろいろな数値が表示されます。しかしそれはこれまでの結果を表示しているだけであり、そこから「活用」への意識を持たなければ何の意味もありません。
数値という結果を様々な視点で活用する方法を考えることで、業績向上という結果は必ず得られます。
(了)