私は5年前から毎週1回、異業種の経営者が集まるビジネスミーティングに参加しています。パチンコ業界しか経験していない私にとって異業種の方の視点や意見はとても参考になると同時に、自身のモチベーションへの刺激にもなっています。
そのビジネスミーティングでは「エデュケーション」という、ビジネスに関するちょっとした学びをシェアする時間があります。毎回メンバーの一人が担当してビジネスに役立つ考え方やトレンドを紹介するもので、そのエデュケーションのある週の回で「パラダイムシフト」がテーマとなりました。このワード自体はけっこう使われていますのでご存じの方も多いと思います。
パラダイムシフト(英: paradigm shift)とは、その時代や分野において当然のことと考えられていた認識や思想、社会全体の価値観などが革命的にもしくは劇的に変化することをいう。パラダイムチェンジともいう。
(Wikipedia「パラダイムシフト」より)
その回での担当の方は飲食店等におしぼりを納品する会社の社長でした。おしぼりに対する飲食店等のプライオリティは一様に高いとは言えません。日々回収するおしぼりはどこのお店でも雑然とした置かれ方でけっこう、汚れていました。
あるときこの社長は、
「おしぼりは汚れを拭き取るという機能だけでなく、同時に清潔さやそのお店の品格を演出するアイテムなのではないか」
と思い至ります。
彼の中で「パラダイムシフト」が起こりました。
「おしぼりは安価、脇役ではなく、席に座られたお客様へのお店の想いを伝えるアイテムになりうる」と考えて「高級刺繍おしぼり」を考案します。「おしぼり=安価、脇役」から、「おしぼり=料理提供前の主役」への価値転換です。半ば使い捨てだったおしぼりから継続して使用するおしぼりへ。そう考えることでお店のおしぼりに対する扱いも変わり、回収するときの置かれ方や汚れ具合も劇的に変化したそうです。
いま、彼の会社は「おしぼり業界オンリーワンの高級志向おしぼり企業」として成長を続けています。
大切な友人である彼、村口義之社長は「街のおしぼり回収業者」から「ミシュラン掲載店舗を顧客とする、飲食店の演出支援企業」の経営に事業転換しています。
■ 新しい価値観の創造
パラダイムシフトを起こすには日々常に「疑問」を持つことが必要ですが、ひとの持つ価値観は過去の経験に形作られているのでなかなか変わらないものです。
しかし、今回の新型コロナウイルスでは社会構造や仕事が半ば強制的に変革しました。これまで必要だと思われていたことが実は必要ではなかったこと、代替することができること、時間の使い方が変わったことなど数多くあります。「疑問」を持つチャンスが転がっている、と言えます。
外部環境の変化はこれまで固まっていた評価やイメージ、ポジションを変えるチャンスです。(一例で言えば低貸玉営業が現れたときがパラダイムシフトの好例と言えますね)
思考を変えて、行動を変えて、新しい価値観の創造を探求しましょう。