今日は8月14日。今年のお盆は11日から13日に三連休があったことで帰省のピークは13日までだったようで、14日の今日は平日と同じかもしれません。
そうは言っても一般的なお盆は15日(または16日)までとされています。まだまだ「年に3回の特別期間」、しっかりとこの秋に向けての営業をしたいところです。
ところで私は仕事柄毎日支援先のデータが手元に届きますが、そのデータを見ているとこのお盆期間はちょっと違和感のあるデータとなっています。
その違和感とは「1円パチンコの稼働が思ったよりも低い」ということです。
もちろん結果には必ず理由があるはず。今回はそのあたりを掘り下げてみました。
実績の数値を確認
1円パチンコの稼働が低いということを端的に表現するならば、それは「支持されていない」ということになります。しかしそんなことはありませんね。総じて1円パチンコは稼働がいいしこれまでも良かったはずです。「このお盆期間が(思ったほど)よくない」というだけです。
私の支援先データでも、そのほとんどで「これまでの平日と同じくらい、これまでの土日(休日)のような稼働になっていない」となっています。具体的には、
これまでの平日アウト:20,000発
これまでの休日アウト:28,000発
今回のお盆期間アウト:21,000発
というような稼働です。
ちなみに最近非常に厳しい稼働だった4円パチンコのお盆期間営業は、しっかりと休日らしい稼働になっているお店が多くあります。具体的には、
これまでの平日アウト:8,000発
これまでの休日アウト:11,000発
今回のお盆期間アウト:10,000発
というような稼働です。
さてこの違い、何が原因なのでしょうか。
そしてこの傾向は今後元に戻るのでしょうか。
1円パチンコの稼働が低いのは下級材だから
この状況は経済学での「上級財と下級材」という考え方で説明できます。経済学の用語のこの2つの言葉を知ることで消費行動や価値観について理解できると思います。
そもそも「上級財」と「下級財」とは?
まずは基本的な定義から。
「上級財」とは、所得が増えるとその消費量が増えるものを指します。具体的にはブランド品や高級車、海外旅行などがこれに当たります。所得が増えると、より質の高いものや特別な体験を求めるようになる、というのが一般的な人の傾向です。
一方、「下級財」とは、所得が増えるとその消費量が減少するものを指します。具体例としては、インスタントラーメンや中古の衣類などが考えられます。所得が増えるとこれらの商品では満足できなくなり、より高品質なものへとシフトしていくことが多くなります。
なぜこの2つの概念が重要なのか?
これらの概念を理解することで顧客の消費行動や会社の戦略を考える手助けになります。
たとえば高所得者向けの商品を扱う企業は、上級財の特性を理解すれば価格設定やブランディング戦略を構築できます。
ひとつには「高いからこそ需要が喚起されて、売れる」特性を理解した価格決定、または元々高価格だったものをちょっとだけ値下げして「手の届く範囲」に価格を設定するなどが考えられます。前者は自動車の新型発表時(今回の新型アルファードの価格はその典型と言えます)や各種ブランド品、後者は夏のエアコン需要などが該当します。
いっぽうの下級材、こちらは「おカネがないから、これを選ぶ」という理屈です。「エアコンは高いので扇風機で我慢する」、「ファミレスは高いから牛丼にしよう」などです(最近は牛丼も高くなりましたけどね・・・)。
こういったことは自分自身の消費行動に目を向けるとわかりやすいもので、例えば所得が増えたときにどのような商品やサービスにお金を使うかで顧客の消費行動がつかめます。
所得だけでなく余暇も影響する
所得だけでなく余暇も消費に影響を与えます。
余暇が多ければ消費にカネ(や、時間)を回したくなり、余暇が少なければ当然余暇に回すカネや時間は減少します。
パチンコ店の営業での上級財、下級材
パチンコ店での上級財は当然、高貸玉部門となるでしょう。もちろん下級材は低貸玉部門です。
続いてお盆期間がどういった時期かと言えば、
・賞与があった
・余暇時間がある
となります。
こうなれば時期的にも「上級財が売れる」、つまり4円や20円に顧客が集まる傾向になるはずで、下級材である1円パチンコは「遊技の選択では次点になる」傾向になるはずです。
そしてそのような実績数値に落ち着いているのが今だと言えましょう。結論、「気にしなくてOK」だと思います。
今1円パチンコの稼働が芳しくないとしても時期が来れば元に戻ります。元に戻るどころかこの後、秋になれば今度は「下級材を選ぶ傾向の時期」となります。
下級材として1円パチンコへ目を向ける人が多くなる季節に向けて、1円パチンコも放置営業ではなくデータをしっかりと分析をしてください。
消費行動を考えることは営業に役立つ
自分自身がこれから年齢や仕事の範囲が増すことで所得が増えていくとして、そのときの自分の消費行動について意識的になることは大切です。
「上級財」と「下級財」の概念を知ることで、自身の消費行動や価値観について深く考えるきっかけになります。経済学の知識は日常生活やビジネスの現場での意思決定の手助けにもなるでしょう。これからも経済学の面白さや有用性を感じながら、学びを深めていってください。