毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
12月も2週目、11月は一年のうちで最も稼働の落ち込みが見られる厳しい月というのが毎年の流れですが、これは12月の15日あたりまで続きます。しかし、だからといって闇雲に動いても足元の結果に変化は見られないもので、「大きな流れには逆らえない」ということになりますね。
そうなるとこのまま何もせずにじっとしているべきなのか、というとそうではありません。明確に「すべきこと」はあります。それは「次なる機会への準備」です。「次の機会」とはもちろん年末年始であり、この時期に仕掛けをするのが戦略の上では定石となります。
ただ、「仕掛け」にはコストがかかります。だからこそ、この12月前半は次なる機会のへの準備として、適正な原資の確保が求められる期間といえます。
「稼働が厳しいということは売上が見込めないのに、利益ばかりを追っては拙いのではないか」
こう考える方もいるでしょう。ここで次のようなことを考えてください。
(問)
A.台売上5,000円 台粗利2,000円
B.台売上20,000円 台粗利2,000円
さてAとB、どちらの方が遊技客の負担が大きいでしょうか?
Aは利益率40%でBが利益率10%ということは当然、Aの方が負担「割合」は大きいことになります。しかしよく考えてみてください。どちらも2,000円の負けです。実は、負担は「同じ」なのです。「売上が低下する時期だから利益“率”を下げないと」というのではなく、「売上が落ちる時期でも利益“額”はこれまで通り」と考えても問題はないのです。もちろん利益“率”は上昇しますが、“率”ではなく“額”で考えるべきなのです。
次に「負担“感”」について考えてみましょう。「負担感=負担を感じること」はどちらが高いか、といわれると、結論から言うとBです。なぜなら、Aは5,000円の投資で遊び、Bは20,000円の投資で遊んだことになるので、遊技中の心境は「5,000円で遊べた」と「20,000円も使った」という違いとなるからです。
このように、パチンコにおいての負担感は、「より少ない遊技金額の方が負担感が低い」のです。実際に4円パチンコと1円パチンコの利益率の違いと稼働の違い、またミドルタイプと甘デジの利益率と稼働を比較すれば理解しやすいと思います。
「同じ利益を確保するならより売上が高いほう利益率が下がる。だから売上の上がる機種を入れよう。」、業界全体がこのように考えてこぞってMAX機種を増やしていった結果、遊技人口は右肩下がりで減り続けていた現実があります。
個々が最適と考えた行動(部分最適)が結果的に全体の利益を減少させてしまう(全体最適にならない)ことを経済学では「合成の誤謬」といいますが、まさにその通りのことが起こっています。
「売上が下がる時期だから利益確保が難しい」ではなく、「売上が下がる時期だからこそ、負担感の減少につながる」と考えて、しっかりと適正な利益額を確保してください。それが未来につながります。