毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
今年もあともわずかとなりました。今年は昨年末に導入開始となったスマスロで支持が拡大したものの、その導入を進める必要が生じたことで結局入替を多くする羽目になってしまい、年間で例年よりも多くの機械代(設備も含む)がかかっているところが多いようです。
そしてこれは来年以降も続くと予測され、入替にかかる費用は今年と同等かそれ以上になる可能性も考えられます。
「入替をしっかりと行うことで稼働を伸ばし、入替にかかる費用を稼げばいいのではないか」
こう考える方も多いと思います。しかし、例えば200万の機械代をかけてその分の利益を上乗せしようとすると、仮に利益率20%だとしたら売上は+1000万が必要になります。それだけの売上アップができる力があるのなら、そもそも現状に甘んじてはいないでしょう。そのような機械代をかける余裕はないのです。キーワードはやはり「将来の原資=利益の確保」です。といっても今回は少し見方を変えてみます。
稼働が低迷しているホールは総じて「粗利益重視営業」という傾向があります。このこと(稼働ではなく、まずは利益という考え方)自体はむしろそうすべきなのですが、問題は「粗利益を見ている」ということです。
ご存知の方も多いと思いますが「利益」には会計上、5種類あります。
①粗利益(売上総利益)・・・売上-原価
②営業利益・・・粗利益-経費
③経常利益・・・営業利益-営業外費用+営業外収益
④税引前純利益・・・経常利益-特別損失+特別利益
⑤当期純利益・・・税引前純利益-法人税等
このうち現場(ホール)で主に管理しているのは①の「粗利益」であり、ここで計算されるのは貸玉料金総額の売上から交換された金額を引いたものです。そしてなぜ粗利益を重視するかというと、この利益が「直接的なお客様の負け」を意味することになるからです。
ここで別の角度から考えてみましょう。粗利益から人件費や光熱費、販管費などの営業に必要な経費を差し引いたものが営業利益です。「経費を抑える努力」も込みで全体を見たこの数字こそ、店舗の営業努力の結果といえます。
そしてこの「経費」の中には当然、機械代が含まれます。機械代を抑えることは結果的に営業利益を増やすことにつながるので、「粗利益を下げてその分機械代を抑えれば、営業利益はこれまで通りながらお客様の負担が下げられる」という結果が得られます。つまり、同じ利益重視営業でも「営業利益重視」に考え方をシフトすることで、粗利益重視営業よりもお客様の方を見た営業が可能になるのです。
「これまで入替をしてきて今の稼働が維持できているので、入替を抑えたりしたら稼働がもっと下がってしまうのではないか。」
こう考えて、なかなか機械代を削減できないホールもあるでしょう。しかし見方を変えれば、
「これだけの入替をしても良くならないのだから、入替の効果は低いのではないか。もっと別のことが必要なのではないか。」
とも言えます。
今、この現状は過去自分たちがしてきたことの結果です。ということはこれまでと同じことをしていたのでは同じ結果しか得られないことになるので、違う結果がほしいならば考え方や手法、アプローチを変えなければいけないのです。
今回は違うアプローチの一つとして「入替を減らす、営業利益を見る」を挙げました。明確に目の前に「危機」が迫っている現状、今回のこと以外にもいろいろなことで「変えて」いってほしいと思います。
「危機」には突然のモノもありますが、ある程度予測できるものもあります。そして今回の「機械代がかかる懸念」は事前に予測可能な危機に含まれます。予測可能な危機に関しては事前に対策を考えておくことで回避が可能です。