毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
幻冬舎刊「ジリ貧パチンコホール復活プロジェクト」、ご覧になっていただけましたでしょうか。
このWEBではここまで各章を簡単にまとめたものを短期集中で執筆してきました。あらためて、内容は以下のとおりでした。
第1章 苦境に立つパチンコホール営業の現状
第2章 データを「見る」から「分析する、活用する」
第3章 お金をかけずに集客
第4章 モチベーションを高めるスタッフ教育
第5章 玉粗利計画の見直しでリピート客を増やす
そして各章のまとめもいよいよ今回が最終第6章。「これからのホール営業に必要な13の意識改革」について、特に重要なことを2つ、お伝えします。
■ 13の意識改革 その1「ホールは“人”でできている」
私がまだ駆け出しのコンサルタントだった頃、上司からはよく「ホールではなく人を見ろ」と言われました。データを読めばホールの状態がわかりますが、どんな人がそのデータを作り出したのか、ホールで働く人たちをしっかり観察すれば、問題点や強み、弱みが明確に見えてきます。
右肩上がりで業績を伸ばしている大手ホールのスタッフは総じて自然な笑顔を浮かべてキビキビ働いています。一方、客数が少ないホールは動きも鈍くダラダラしているように見えてしまいます。
「稼働が高いホールは活気があり、忙しく立ち働いているからキビキビ見え、稼働が低いホールはスタッフも手持ちぶさたなのでダラダラとしているように見えるだけ」という考え方もありますがそうではありません。データに表れているホールの状態は、そこで働く人たちが作り出したものです。まず人がいて、その人たちの言動が稼働の高い、あるいは低いホールを作るのです。
人が変わらなければホールは変わりません。働く人が意識を変えなければ、ホールはいつまで経っても同じままです。
■ 13の意識改革 その5「どうすればできるか、を考える」
停滞を感じる現場で長く働くと「あれもこれもできない」と考えるのが当たり前になってしまいます。大手ホールとは違い資金も人手もないので、会議などの席で「うちも同じことをやってみよう」という意見が出ても、まずできない理由を探して、結局動かない傾向が非常に多く見受けられます。
「できない、無理」とあきらめるのは簡単です。昨日ホール勤務を始めたばかりの新人でも「大手と同じことなんてできるはずがない」と決めつけることはできます。一見不可能に思えることでも「やろう」とする意志を持ち、知恵を絞るのがプロフェッショナルです。
どんな現場にも仕事ができる人はいます。大手と同じくらい頭が切れ、豊富な経験を持つ人材はいるのです。ただ、それを活かそうとする意識やモチベーションが停滞した現場には欠けています。ホール全体に負のムードが漂っています。
しかし考えてみてください。どんなホールも最初からそんな状態だったわけではありません。誕生した当初は、建物は新しく、機械は魅力いっぱいの新品、店長をはじめとするスタッフも明るくやる気に満ちていたはずです。十数年の時を経て沈滞ムードの漂うホールになってしまったのは、過去に重ねられた「選択」の結果です。
これまでの選択と決断の中には「あきらめる」というものもあったと思います。そこであきらめずに「頑張る」、「どうすればできるかを必死で考える」を選んでいたら、ホールの状態はもっと違ったものになっていたかもしれません。
これまで、つまり過去は変えられませんが未来はこれから作れます。「できない」という前に「どうすればできるか」を死にものぐるいで考える習慣こそ、現場の未来を明るくするものです。