毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
前回の記事では「視察にはテーマをもってほしい、決して表面を見るのではなく。」というお話をお伝えしました。
今回はその続きで、「では、どういったお店を、どのように見るべきか」をお伝えします。
まず、見るべきお店は自店のポジショニングと同じか、やや下のお店を見るべきです。繁盛店を見るのではなく、「なぜ、このお店はダメなのか?」をテーマに視察するとよいと思います。「反面教師」ですね。
繁盛店の視察では、その感想は往々にして、
・機種構成がいい
・設備がいい
・広い、ゆったり
・よく回している
・スタッフの教育が良くなされている
・きれい
といったものです。全て表面的なことに終始しています。
前回もお伝えしましたが、「そういった結果(表面)になっている本質がどこからきているのか」については見ていません。
いや、「見ろ、考えろ」と言いうほうが無理でしょう。なぜなら、「本質的な強さは、見えないところにある」から強くなっているのですから。そしてそういった「見えない部分の強さ」は、実は当事者自身もよくわかっていないことが多々あります。私の支援先でも比較的「強豪」といえるお店もありますが、そういったお店に話を聞くと、「自分がお客様だったらこうしてほしいということをごく普通にやっているだけなので、なぜと聞かれてもよくわかりません。」と言われます。「本質」は当事者にも見えない部分だったりするのです。
プロ野球の名監督、野村克也氏は次のような名言を発しています。
「勝ちに不思議の勝ちあり、負けに不思議の負けなし。」
「なぜいいのか?」を考えるのではなく「なぜダメなのか?」を考えたほうが、はるかに有用性があります。
(なお、この言葉の初出は江戸時代の大名「松浦静山」の言葉だそうです。)
繁盛店視察をした時の感想では冒頭記載のように「良い部分」以外にも、いろいろな「ダメな部分」も見えるときがあります。というか、むしろ「ダメな部分」の方がよく見えますね。良いお店のダメな部分を確認するよりも、ダメなお店のダメな部分を確認して「反面教師」とするような視察をしてください。