今日は2024年12月の28日、土曜日です。いよいよ年に3回の特別期間の中でも最も重要な年末年始営業がスタートしました。
改めて「年に3回の特別期間」を確認しますが、それは以下の3つです。
・ゴールデンウィーク期間
・お盆期間
・年末および年始期間
これらはすべて大型連休期間であり、そして私は冒頭のように「年末年始期間は最も重要」としました。これには理由があります。なぜなら、
・ゴールデンウィークは長期間とはいえ必ず中盤に平日をはさみ、連続期間は4日程度。
・お盆期間は必ずしも全員が決まった期間ではなく、また昨今の社会の変化により「ローテーションで8月中に○回」というような変則的な休暇取得も増えている。
というように、年末年始以外の特別期間は比較的短期間であったりそもそも「休まない」といったりの期間となっているのに対し、年末年始だけはサービス業を除くほとんどの業種が一斉に休暇を取る期間、そしてしかも長期間だからです。
今回の年末年始期間は12月28日(土)~1月5日(日)まで9日間の連休が見込まれます。
「大型連休期間はサービス業にとっての書き入れどき」、もちろんパチンコ業界にとっても絶対に外すことのできない期間でしょう。
今回「緊急提言」と題したコラムをアップするのは、改めてこの期間の営業を考えていただきたいと考えたからです。
結論は、
・決して日和るな!緩めるな!それが相乗効果を生み出すと考えよ!
です。
■ 年末年始にシメる理由
年末年始にシメ営業を志向することについて一般的に考えられている理由は、
・いつもの常連さんではない人、具体的には帰省客が来店するから取ってもいい
でしょう。
もちろんパチンコ店営業の基本は「出すべき時に出し、取るべき時に取る」なので、大型連休期間は「取るべき時」としての機能を期待していることになります。
しかし上記の認識(帰省客)は間違っています。実は年末年始であっても新規客は増えません。いつもと同じ遊技客がほとんどなのです。
・いつもは来店回数が少ないけれども少し多く来る
・いつもは短い時間だけどちょっとだけ長く遊ぶ
から、それが重なって稼働(アウト、IN枚数)が伸びているのです。
この視点で考えると「あまり取り過ぎてはいけない~」となるかもしれません。
それでも今回の提言は「緩めるな!」です。それは決して利益を取りたいからだけでなく、緩めない営業を志向することでむしろ自店の信頼度をあげることにつながるからです。
■ 割数とIN枚数はリンクしない
これは関西地方某店の20円スロットIN枚数と景品金額をグラフ化したものです。(IN枚数が左目盛り、景品金額が右目盛り。単位は枚および千円)
「景品金額」、普段の管理ではあまりなじみがないかもしれません。これは単純に「売上-利益」で計算でき、要はその日の交換金額のことを指します。
そしてこのグラフをパッと俯瞰すれば一目瞭然、景品金額(青ライン)の高低とIN枚数(赤ライン)の高低が明確にリンクしています。
景品金額は当日の交換金額であり、この数値が高いということは良く出していることになります。逆に低ければそれは出ていない、となるでしょう。
もちろん割数が高ければ出る人が多い(はず)なので割数を高めればIN枚数が伸びるといえるかも知れませんが、実は以下のグラフが示すように割数とは必ずしもリンクしません。
割数(緑ライン)が高くてもIN枚数が低い、また逆に割数が低くてもIN枚数が高いなどが見て取れ、割数とIN枚数がリンクしているとは言い難いグラフです。
割数は「使用金額に対する、景品金額の割合」、単なる比率の数であり、これに対して景品金額は「実数」であり目に見えるものです。比率が高くても実際に出る金額が多くなるとは限りません。
例えば300台のスロットがあり、
① IN枚数6,000枚 売上500万 粗利75万
② IN枚数8,500枚 売上700万 粗利140万
という場合の各種数値は以下のようになります。(11.2割分岐)
粗利額、利益率、台粗利、コイン粗利どれを見ても①<②ですが、それでも稼働についても①<②となっています。
実は上記に欠けている視点、それが景品金額です。景品金額は、
① 売上-粗利=500万-75万=450万
② 売上-粗利=700万-140万=560万
なので②のほうが多い、つまり「出ている」のです。そしてこれが一般的な平日営業と週末営業の違いとなります。
つまり、
・利益率も利益額も週末の方が高くとも実際に出ている景品金額が週末のほうが多いので、週末のほうが出ているように感じる
ということにつながりそれが週末の高稼働の仕組みなのです。
「週末はいつも来ない遊技客が多く来店するので利益を多く取っても構わない」と考えているとしたら大間違い、実際は平日も休日もすべて「自店の大切なお客様」です。その範囲でどうしたら適切なら粗利が確保できるか、どうしたら出玉感を演出できるかと考えた場合に、「売上の多くなるときなら景品金額を高めつつ利益も確保できる」となるのです。
■ 「稼働を伸ばすには出すこと」、これは最も愚かな間違い
稼働に影響を与えるのが割数よりも景品金額だとするならば、景品金額を増やす取り組みが求められます。
景品金額を上げる方法は2つ。
1.出す
2.売上を上げる
つまり平日は売上が低いので出していくことで景品金額を増やし、土日はしっかりと割数を抑えることで売上を上げて景品金額を増やします。明確に方向性と手法を変えなければいけないのです。
そして年末年始期間というのは上記「2.売上を上げる」が必ず発生することになります。だからこそ「売上を上げるための努力」を上積みしていくことが求められるのです。
→ 内部努力としては設定と調整、外部努力としては集客企画。
→ 集客企画は出玉系、設定示唆系についてはNG。
せっかく売上が上がる時期に出してしまうと売上の伸びが鈍くなり、結果的に景品金額も低下します。この時期は売上がいつもより高くなるからこそ、売上が上がる施策をトコトン追求するのです。つまり「シメる」のです。「1.出す」は売上の上がる見込みが低いときの施策なのです。
下図はある関西地方のお店が今年の夏以降、上記の取り組みを実践していただいた結果です。
「売上を上げるための施策」として、
・6月に5スロを廃止
・平日は高め営業
・週末は全力で売上を上げる
ことを徹底していきました。そして常に前月を上回る景品金額となるように意識して取り組んだ結果、上記のように売上、景品、粗利が向上しています。
面白いことにコイン粗利も利益率も向上しています。
「稼働を上げるには出すこと」と考えている方には信じられないデータでしょう。
稼働を上げるには利益を減らして出すのではなく、景品金額を出すのです。
■ 年末年始期間は、次のための準備期間
特別期間にどんな営業をしてもこの期間後の稼働(客数)は激減します。このことをしっかりと認識し、「特別期間後にできるだけ同じレベルの景品金額を出すために、特別期間は原資を確保しなければならない」という意識で臨む必要があります。
例えば12月の月間日別平均データが以下のようなものだったとします。
・売上500万 粗利80万
この場合は景品金額が420万となるので、もしもこの先420万を下回る売上が見込まれる日があるならその日は「赤字営業を志向する」必要があるのです。これによって客数が低下する時期であっても現在と同等レベルの出玉感、活気を作ることができるから落ち込みを少なくしていけるのです。
そのための原資を確保するのがいま、年末年始の特別期間なのです。
上記を踏まえて、
・20日(金)までは普通に「平日らしい」営業
・21日(土)から年末営業スタートと捉え、27日(金)までは基本的に粗利確保優先
・28日(土)以降は全力粗利最優先期間
・1/6(月)~10(金)も最優先ではないが粗利優先営業
・最後の三連休(1/11~13)は最後の全力営業期間
12/20(土)から1/13(月)までは絶対に確保をすべきなのです。
→ 12/20~1/13までの余剰確保分を14日以降で活用する。
わたしは支援先に、「1月は松の内(成人の日)までに月間計画の3分の2を確保するように」とお伝えしています。
多くのお店では期間中に特日(全館イベント)が何回か含まれるでしょうし、1/6の週に新台入替もあることだろうと思います。しかしこの期間は必ず売上があるので景品金額に問題はないと考えて、上記のように進めるべきなのです。
この期間は年間で最も粗利を重視しなければならない期間、この期間だけは稼働ではなく粗利を見ますが、それは同時に景品金額を高める期間でもあるのです。
「少々長い」と思うかもしれませんが景品金額の視点で考えれば大丈夫です。むしろ14日以降の落ち込みはどんな営業をしても避けられない(出しても、or出ても)ので、その時に景品金額を出せる態勢にしておかなければならないと考えてください。
■ まとめ
年末年始は基本的に粗利の確保を最優先します。この考え方は従来的な「年末年始後に稼働が低下した時に取れなくなるからその前に取る」ではなく、「年末年始後に今と同等の出玉(景品玉、景品金額)を出すために確保する」です。
またその期間がほかの特別期間(GW、お盆)よりも長いことで、途中で「こんなに長期間利益重視営業をしたら拙い」と考えて(日和って)しまうことは絶対に避けてください。そんなことをしなくても(緩めなくても)この期間は絶対に大丈夫です。それは景品金額という視点で見れば明らかなのです。
この期間に少々緩めてもよいことは何一つありません。
・緩めることで売上が低下し、出せたはずの景品金額が低下することで出玉感が低下する
・緩めても緩めなくても稼働は変わらない
・緩めても緩めなくても特別期間後は必ず稼働が激減する
この期間に緩めなかったことで稼働が伸びなかった、または低下したならば、それは今この期間の営業の問題ではなくこれまでの取り組み、営業内容に問題があったと考えてください。
まず今回は絶対に緩めないこと、長い期間と感じても絶対に緩めないこと。
これを徹底してください。それがこの先の営業に結果的につながっていきます。