毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
このコラムページとは別に「パチンコ計数管理」というページがあり、そこではアミューズメントジャパン誌に連載していた記事(全32回)をアップしています。
内容は、
・基礎:基本用語と計算式の理解
・応用:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といったものでなかなかのボリュームがあります。(汗
前回から4回に分けて「計数の考え方」をお伝えしており、2回目の今回は「割数」についてです。
パチンコ店で管理する指標の中で特にこの業界独自のものとして「割数」があります。損益分岐の割数に対して当日の割数を見ることによってその日の利益率がわかる指標とされていますが、実はそうではありません。
一般的な商売を簡易的なモデルで表すと、
利益=売上-原価(仕入)
と表すことができます。例えば売値1,000円で仕入れ値が400円だったら利益は600円、利益率は60%となります。
これはパチンコ店でも同じです。パチンコ店も「商売」ですから、売上から仕入れ値を引いた残りが利益です。
ではパチンコ店における売上とは、仕入れとは何が相当するのでしょうか。
まずパチンコ店における売上は貸玉×貸玉料金、つまり日々の売上がそれにあたります。これはすぐに思い当たるでしょう。問題は「仕入れ」です。
実は一般的な商売でいう「仕入れ」は、パチンコ店においては「景品交換額」に相当します。「出した玉数を金額換算したものが、仕入れ」です。
「出したものが仕入れ」というのは少々ややこしく感じますが、上記利益の計算式「利益=売上-原価(仕入)」をパチンコ営業に当てはめれば理解もしやすいかと思います。
つまり「利益は、売上から景品交換額を引いたもの」ということを計算式に当てはめれば、こうなることがわかるはずです。
そして「日々の景品交換額が仕入れ」になるのですから、交換の比率を表す「割数」が仕入れを表す指標となります。
さて、店舗管理者としては立てた計画の利益を確保することが求められ、その利益の確保をするために遊技機の運用シミュレーションをして割数を決める作業をしていると思います。このとき、「利益が〇〇円必要だから割数は△△で~」というような決め方が多く、その決め方の視点は(もちろん)利益に向いています。例えば11.2割分岐のお店であれば「10.08割にすれば利益率は10%」という考え方です。
しかし、そもそもの割数の意味からすればこの考え方は間違っています。前述のように割数は仕入れ(原価)を表す指標なので、割数を決めるということの意味合いとしては「どれだけ、出すか」を決める作業なのです。もちろん利益額と仕入額、利益率と原価率は表裏一体なので同じことだと思われるかもしれません。それでも捉え方を変えることで、「お店(自分)の論理を考えるのではなく、お客様のことを考える」と視点が変わります。
「商売」はお客様に支持される、喜ばれることをするのが基本です。パチンコ店も同じであり、すべての数値はお客様の満足度を向上させるために活用します。
割数も「利益管理の指標」としてみるのではなく「出し方の管理」と捉えることでお客様目線の数値にかえることができるのです。遊技機管理、店舗管理の指標としてとても重要な数値だからこそ、その捉え方を変えてみてください。
今回は文字数も多くなってしまいましたが、割数にはもう一つ重要な「捉え方の変革」があります。次回も引き続き割数の捉え方をお伝えします。