毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
このコラムページとは別に「パチンコ計数管理」というページがあり、そこではアミューズメントジャパン誌に連載していた記事(全32回)をアップしています。
内容は、
・基礎:基本用語と計算式の理解
・応用:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といったものでなかなかのボリュームがあります。(汗
ここまで3回に分けて「計数の考え方」をお伝えしております。
前回は割数を「利益を見る数値ではなく出し方を見る数値に捉え方を変えて欲しい」ということをお伝えしました。このように考えることでお店視点の考え方からお客様視点の考え方に変えることができるというものです。
この「お客様視点で考える」こと、計数管理全般で非常に重要な「思考の転換」といえます。
なぜなら計数管理というものはお店視点で数字を管理するものだという認識が強いですし、実際に計算はそのようにお店からの視点で行うものだからです。
4回目の今回は「玉単価、玉粗利の考え方」についてです。この数値もお客様視点で考えるとまた違った活用に生かせるのです。
「玉粗利」、パチンコ店ではかなり重要視されている指標です。「アウト1個あたりの、お客様の負担額」、簡単に言えば「1発打ち込むごとにお客様が負ける金額」です。これに6,000を乗じると1時間あたりにお客様が失う金額が出るとされ、この数字が多いほど遊べないお店ということになります。
例)
玉粗利0.10円 → 1時間遊ぶと600円負ける(0.10円×6,000発)
玉粗利0.20円 → 1時間遊ぶと1,200円負ける(0.20円×6,000発)
玉粗利の計算式は「粗利額÷アウト玉数」です。
「玉粗利はお客様の負け金額を遊んだ時間で割ったものであり、体感する負担感を数値化したものである。」
遊んだ人数は別として台あたりで考えれば、仮にアウト12,500発の台で台粗利が2,500円であれば、「お客様は1発打ち込むごとに0.20円ずつ減らした(負けた)」といえます。要は遊んだ時間の長さに応じて遊技料金が上がりますよ、といった考え方です。
でもこの考えはちょっとおかしいと思います。なぜなら玉粗利は遊技終了後の収支から計算しているからです。言ってみれば「結果論」です。例えば、
・ミドルで玉単価1.60円、玉粗利0.20円
・甘デジで玉単価1.00円、玉粗利0.20円
だったとします。
玉粗利を重視するお店の視点では「どちらも同じ玉粗利なので同じ負担感!」となります。(玉粗利重視の方に、実際にそういう論調は多いです。)
しかし遊技客目線の体感的には違います。普通の感覚なら「やっぱりミドルはキツイな。」でしょう。これは、遊んでいる最中は「使った金額の多寡」を考えるからです。数字で確認すると、両方ともアウトが12,500発だったとすると台売上は、
・ミドル 1.60円×12,500発=20,000円
・甘デジ 1.00円×12,500発=12,500円
です。
パチンコをしていて重要なのは「いくらで当たって持ち玉になるか?」、つまり「いくら使うか?」ではないでしょうか。
まず大当たりして、そこから初めて純粋にパチンコが楽しいと思える時間が始まります。なので「いくら使って、どれだけの時間を遊んだか?」が体感的な指標になり、それを表す指標は「玉単価」です。
※玉単価=売上÷アウト玉数
上記を整理すると、
・玉粗利 → 実際に”負けた”金額を、遊んだ時間で割った数値
・玉単価 → 実際に”使った”金額を、遊んだ時間で割った数値
です。
例えば4円パチンコを打とうしたとき、予算的にいくらくらいが必要かとなると、ミドル機種だとして大体3万円は持っていないと不安だと思います。仮に玉粗利が0.20円の優良店(事前にわかるわけがありませんが・・・)だったとしても「玉粗利0.20円だから、2時間で当たるとして2,400円あれば大丈夫~」などと思う人はいないはずです。
ということで私は、お客様の負担感を数字で判断するには、玉粗利よりも玉単価を見るべきであると考えています。
以上をまとめると、
・玉粗利 → お客様の“負担”を表す指標
・玉単価 → お客様の“負担感”を表す指標
と言えると思います。
数字は結果、事象です。計数は数字を扱うので「計算結果の答えは一つ」かもしれませんが、その捉え方次第で視野は広がります。
得られた結果がどのように生かせるかは解釈次第です。