玉単価と 玉粗利 (月刊AJ連載7)
改めてウェブ上にアップすることで連載内容のおさらいになるかな、と思いますので、今後も定期的にアミューズメントジャパン誌の連載をアップしてまいります。
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皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林秀樹です。計数管理に対して苦手意識を持つ方も多いと思います。この連載ではそういった苦手意識を克服していただくために、分かり易くお伝えしています。
第7回の今回は「玉単価と玉粗利」について確認します。
■ 玉単価
玉単価とはアウト1個当たりの売上を表す数値で計算式は、
玉単価=台当たり売上÷台当たりアウト
です。例えば台当たりの売上が18,000円、アウトが12,000個だとしたら、
18,000円÷12,000個=1.50円
となります。「アウト」は現金遊技での打ち込み数だけでなく持ち玉やベース相当分の打ち込み数もあり、この2つの打ち込みは売上が0円です。これにより玉単価は、持ち玉遊技時間が増えれば増えるほど4円から下がっていくことになります。
■ 玉粗利
玉粗利とはアウト1個当たりの粗利益額を表す数値で計算式は、
玉粗利=台当たり粗利÷台当たりアウト
です。例えば台当たりの売上が18,000円、粗利益率が20%、アウトが12,000個だとしたら、
18,000円×20%÷12,000個=0.30円
となります。
■ 玉単価と 玉粗利 の意味
玉粗利は営業管理上、かなり重要視されている指標です。「アウト1個当たりの粗利額」、簡単に言えば「お客様が1個打ち込むごとに負ける金額」だからです。これに6,000を乗じると1時間あたりにお客様が失う金額が出るとされ、この数字が高いほど遊べないお店ということになります。
例)
・玉粗利0.10円 → 1時間遊ぶと600円負ける(0.10円×6,000発)
・玉粗利0.20円 → 1時間遊ぶと1,200円負ける(0.20円×6,000発)
∴ 同じ時間(この場合1時間)の遊技で、負担金額(負ける金額)が違ってくる。
「玉粗利はお客様の負け金額を遊んだ時間で割ったものであり、体感する負担感を数値化したものである。」
遊んだ人数は別として台当たりで考えれば、仮にアウト25,000個の台で台粗利が5,000円であれば、「お客様は1個打ち込むごとに0.20円ずつ減らした(負けた)」といえます。
要は「遊んだ時間の長さに応じて遊技料金が上がります」といった考え方です。しかし、この考えはちょっと現実とズレがあると思います。なぜなら「玉粗利は遊技終了後の収支から計算しているから」です。言ってみれば「結果論」です。例えば、
・319タイプで玉単価1.50円、玉粗利0.20円
・甘デジタイプで玉単価1.00円、玉粗利0.20円
だったとします。玉粗利を重視するお店の視点では「どちらも同じ玉粗利なので同じ負担感」となります。(玉粗利重視の方に、実際にそういう論調は多いです。)
しかし遊技客目線の体感的には違います。普通の感覚なら「やっぱりミドルはキツイ」でしょう。これは、遊んでいる最中は「使った金額の多寡」を考えるからです。
このようにパチンコをしていて重要なのは「いくらで当たって持ち玉になるか?」、つまり「いくら使うか?」です。まず大当たりして、そこから初めて純粋にパチンコが楽しいと思える時間が始まるからです。
この「いくら使って、どれだけの時間を遊んだか?」が体感的な「遊び、遊べる」の指標になり、それを表す指標は「玉単価」です。
以上を整理すると、
・玉粗利 → 実際に”負けた”金額を、遊んだ時間で割った数値
・玉単価 → 実際に”使った”金額を、遊んだ時間で割った数値
です。
いま4円パチンコを打とうと決めたとして、皆さんは予算的にいくらくらいを持っていこうと思うでしょうか。ミドルスペックの遊技機を打つとしたら大体2万円は持っていないと不安だと思います。
仮に玉粗利が0.20円の優良店(事前にわかるわけがありませんが)だったとしても「玉粗利0.20円だから、2時間で当たるとして2,400円あれば大丈夫」などと思う人はいないはずです。
※ちなみに私が過去在籍した会社でミステリーショッパーをしたことがありますが、その時の1店舗当たりに会社から出る予算は2,000円でした。「1店舗の調査に1時間、玉粗利0.30円として計算」です。もちろん2,000円なんて瞬殺です。普通の感覚なら1時間調査のうち30分を試打にあてたとして、5~6,000円は必要だと思います。玉粗利計算のおかしな点を表していると思います。
このように、お客様の負担感を数字で判断するには、玉粗利よりも玉単価を見るべきです。
【今回のポイント】
・玉単価はお客様の負担感
・玉粗利はお客様の実際の負担
(了)