■ 過去最悪の経済状況となっている
2020年もあっという間に9月となりました。
今年は年初の新型コロナの感染国内初確認に始まり、現在(2020.9.6)においても新型コロナの影響はぬぐい切れていません。「巣ごもり需要」として一部業種で売上の増加がみられましたが、日本全体の国内総生産(※GDP)速報値は2020年4-6月期に前期比7.8%減、年率換算では27.8%減という、比較可能な1980年以降で最大だった2009年の17.8%減を超えて過去最悪となっています。
※GDP(Gross Domestic Product)・・・計算式はGDP=C+I+G+NXで1年間に国内で消費された金額の合計。「三面等価の原則」により「国内で生み出された付加価値の合計」ともいえる。
C・・・個人消費
I・・・企業支出(設備投資)
G・・・政府支出
NX・・・純輸出(輸出-輸入)
4~6月期GDP、年率27.8%減 過去最大の落ち込み(日本経済新聞WEB 2020.8.17)
https://www.nikkei.com/article/DGXLASFL17HSS_X10C20A8000000/
このうち特に大きなマイナス寄与となったのは個人消費の8.2%減です。
つまり国民の消費が停滞した、おカネを使わなくなったことが大きくマイナスに影響したということであり、これはBtoC業種の厳しい経営環境、平たく言えば「お客様が来ない」という現状を表しています。
もちろんパチンコ店もBtoC業種ですので、当然この影響を大きく受けました。
■ 売上-景品=利益?
企業経営には利益が必要です。
しかし上述のとおりBtoC業種は売上が減少したことで必要な利益の確保が難しい状況に置かれました。そこで考えるのは「売上が上がらないなら出る部分を減らすしかない」です。パチンコ店で具体的に言えば利益率を上げて景品金額を減らす対処です。
しかしそれでは根本的な解決にはなりません。
実は利益は5種類あります。一般的にパチンコ店で管理しているのは「売上総利益(粗利益)」ですが、企業として必要なのは最終的に企業に残るおカネ、「税引後当期純利益」です。
ただしこれら5つの利益のうち経常利益以降の3つは「経営に関する部分」なので、現実的に店舗として管理するのは「売上総利益」と「営業利益」となります。
パチンコ店で利益を計算するときに使用する割数という概念、これは「売上金額に対しての景品金額の割合」です。そのため逆に計算すれば売上金額から景品金額を差し引くことで利益が求められることになるのですが、これは一般的な小売業で言えば「売上-商品原価」を求めていることになります。
もちろん企業経営ではそこからさまざまな「経費(販売費および一般管理費、いわゆる販管費)」を差し引いた利益が重要です。これが「営業利益」です。
販管費の費目には様々なものがあり、代表的なものが人件費、機械購入費、広告宣伝費、水道光熱費、交際費などです。店長、役職者にはこれらの経費のコントロールも「営業」の一部という認識が必要です。
■ 「コスト」には2種類ある
さて上述した「経費の見直し、コントロール」についてはしっかりと認識しているという自負を持つ方も多いでしょう。新型コロナ禍の現状の前に消費増税や遊技機の短命化などで業界の凋落傾向が長期化していたこともあり、会社から経費の見直し、圧縮を言われているところが多いからです。
代表的なところでは機械購入費と広告宣伝費の圧縮、削減だと思います。
なぜこの2つが特に目に付くかというと、この2つは経費に占める金額も多く、まただからこそ削減効果も高いと思われるからです。
しかしここは一旦思考を止めてもらい、次に挙げる視点を取り入れてもらいたいところです。それは、
・コスト(経費)には2種類あるということ
・一つ目は「ロス・コスト」
・二つ目は「プロフィット・コスト」
ということです。
■ 「プロフィット・コスト」は増やさないといけない
ロス・コストというのは使用することで利益を減らす要素のあるコストであり、具体的には交際費や水道光熱費、その他増やすことが(かけることが)企業負担を増加させるコストです。これは明確に削減、見直しを強く進めないといけないコストです。
「ロス」=損失、の意味なのです。
これに対してプロフィット・コストというのは、この経費をかけることが将来的な売上(利益)の増加に寄与すると考えられるコストです。そしてこの代表的なものに人件費や機械購入費、広告宣伝費が含まれます。
「プロフィット」=利益、の意味です。
もちろん「無駄に終わる可能性のあるプロフィット・コスト」もあるでしょう。人件費に関しては単なる人員増は無駄であり機械購入費もそれこそ全くダメな機種の導入は無駄でしょう。
しかし、しっかりと戦略を立ててその遂行のために必要だと考えたコストはかけないといけないのです。人件費で言えば社員さんの教育、研修コスト、機械購入費なら自店客層に合致する機種の導入となります。
やみくもに経費削減、とばかりに目につくものを削減ではいけないです。
「コスト削減」というのは売上につながらないコストを削減すること、そして削減した部分を売上、利益につながることに配分し直すこと、これが「コストの見直し」です。
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