9/16(水)の記事で「マーケットインとプロアウト」について記載した。
今日(こんにち)では企業側が設定する売りたいものではなく、顧客が設定する買いたいものを販売しなくてはいけない、という内容である。
今回はこの点をもう少し掘り下げてみようと思う。
■ “作って”売るではなく、“感じて”売る
伝統的なマーケティング(1980年代まで)は「製品を売る」ことを目的としていた。製品を作ってから、顧客を探すのである。
しかし現在は違う。
「消費者革命」という言葉を聞いたことがあるだろうか。これは消費者の生活様式が急激に変化するということなのだが、ダイレクトマーケティングの父と呼ばれるレスター・ワンダーマン氏はこのことについて次のように述べている。
「産業革命のときは『この製品を買いませんか?』と企業側が投げかけていた。ところが消費者革命が起こると、今度は顧客側が『こんな製品を作ってもらえませんか?(販売してもらえませんか?)』と投げかけるようになった。」
今日(こんにち)、顧客は絶対的な存在となった。
以前は企業がハンターのように顧客を探していたが現在では「顧客がハンターとなって」企業を探している。具体的な要望や価格、、製品の受け取り方法を決めるのは顧客、情報や広告を受け取るかどうかを決めるのも顧客である。
■ 立場は逆転した
これにより企業は「作って売る」から「ニーズを感じ取って満たす」へと発想を転換しなくてはならなくなった。顧客価値を広い視点で捉え、それを顧客にとって最も便利なやり方で満たさなければならないのである。顧客が最小限の時間とエネルギーで製品やサービスを探し、注文し、受け取れるようにするべきであり、その顧客ニーズにより低コストで応え、より大きな満足を引き出すためには、自社を取り巻く関係各所、つまり供給業者、流通業者、社員、その他すべてのステイクホルダーとの協力関係を構築し、その力をうまく引き出すことに努めなければならない。
企業と顧客の根本的なパワー、立場が完全に逆転しているという事実、すなわち「供給サイドがコモディティ化し、需要サイドがカスタマイゼーションされている」のである。