現在、消費者(コンシューマー)は「プロシューマー」へと変化した。「 プロシューマー 」とは「プロデュース+コンシューマー」を組み合わせた造語であり、自らが製品の創造にかかわる消費者を指す。「The Third Wave(邦題:第三の波。1980年)」という書籍においてアメリカの未来学者アルビン・トフラーが提唱した概念だ。
■ プロシューマー という存在
これはデルコンピュータを例に考えればわかりやすい。デルのユーザーは自分のニーズに合った機能やサービスを選んで「自分の理想のコンピュータ」を作り上げる。これは「プロシューマ―」そのものだ。
マーケティングの神様と呼ばれるアメリカの経営学者フィリップコトラーはその著書「新版マーケティング原論(2002年)」において次のように述べている。
「近い将来、マイカーを購入する際にもコンピュータの画面上で好みのデザインを指定できるようになるだろう。~中略~トヨタのボディにホンダのエンジン、シートとインテリアはフォード製でまとめるというように。~後略~。」
これも“プロシューマー”を意識した一節で、マーケティングの主体が企業から顧客に移ることを自動車業界に例えて示していた。コトラーが例示した一節は2002年時点における将来の見通しだったが、その後実際に、
・無印良品は「空想無印」というサイトを用いてユーザーと一緒に無印良品の商品を企画・販売する取り組みを進めてきた。
・ファミリーマートは「みんなで作るおむすび選手権」という、店頭に並べるおむすびを考える企画を実施してきた。
というようなプロシューマーの事例が表れている。
2020年現在、自動車業界でプロシューマ―的取り組みはまだ見られないが、その見通しは近いかもしれない。
■ プロシューマーを活用すべき時代
どの業界でも“プロシューマー”を活用すべき時代が来ている
消費者が製品の創造にかかわるシステムは実は企業側にとっても大きなメリットがあるからだ。
・企業はサービスコストを低減できる
・企業は顧客を設計プロセスに加えることで顧客流失リスクが減る
消費者のプロシューマ―化によって顧客の声をもとに製造や流通を向上させる道が開かれる。YahooやGoogleは製品のベータ版を多くの顧客に提供し無償で品質向上のための検証を行っている。フィードバックが得られたからこそ、これらのサービスは顧客ニーズを満たすことができて今日の隆盛につながったといえる。
低コスト、高効率のこうした試みからは、さらに斬新なカスタマイズ・ソリューションが生み出され、顧客ロイヤリティの向上に寄与している。
さて、自社もしくは自社の所属する業界ではどのように“プロシューマ―”との協働が図れるだろうか。考えてみてほしい。
=======================
面白かった、と思った方はポチっとお願いします。
↓
ビジネス・業界ランキング