「差別化」、今はもう当たり前の経営戦略用語として定着しています。「差別化」が一般化したのはマイケルポーター博士の「競争の戦略」(1995年)からでしょう。その中でポーター博士は経営戦略を3つに分類し、その中に差別化を盛り込みました。
(1)コストリーダーシップ戦略
徹底的にコストを抑えて価格面で主導権を握る戦略。マスターゲット(大衆、全方位)に大量生産/大量消費が可能な大企業に適した戦略。
(2)差別化戦略
他社にない特別な付加価値を追求し、指名買いを目指す戦略。
(3)集中化戦略
企業が対象とする市場を特定の顧客層や特定地域などのセグメントに集中すること。対象と決めたセグメントに「集中的にコスト優位性を追求する戦略」と、「集中的に差別化で優位性を追求する戦略」がある。中小企業の目指す方向性は「差別化集中戦略」が適しているとされる。
今回は競争戦略が主題ではないので、このうち「差別化戦略」に絞って話を進めます。
■ 差別化のカギは「目に見えない経営資源」
「差別化」とは「他社に真似のできない自社の強みを生かして他社に対して優位性を築き、もって顧客の支持を得ること」と定義されます。ではこの差別化の「源泉」はどこに求めるものでしょうか。
「他社に真似のできない~」ということから、それはカネで解決できることであってはいけません。例えば設備や低価格(還元)などは資本力さえあれば追いつかれてしまいます。ですので、差別化を考える場合の多くは無形の経営資源、つまり社風であったり経営理念であったり、これまでのその企業の歩みからくる企業独自の価値観といった「目に見えないもの」が該当します。目で見てわかることではないからこそ、他社が表面上の真似では追いつけない強さを持つことができます。
これは例えば、いわゆる強豪といわれる店舗を視察してその通りの店舗づくりをしても同じような結果が得られないことからもわかると思います。
■ 目に見えない経営資源のカギは「ヒト」
さて、これらの「目に見えない経営資源」を創り出す源泉は?というと、これは「ヒトという経営資源」にたどり着きます。社風も理念も、行動もすべてヒトが創り出すものだからです。そのためどんな企業でも「人材育成」が重要課題とされているのです。
多くの企業、または研修では人材育成を「人“財”育成」と表記します。「ヒトは財(宝)」ということでしょう。
そしてヒトという経営資源は「在→材→財」と成長するといわれます。
・在るだけのひと(=いるだけ)
・業務の材料となるひと(=駒として使える)
・会社の財となるひと(=新たな価値を生み出せる)
ということですね。
「人財」が差別化の源泉です。
■ ヒトの成長は「財」の先もある
ただしこの話には続きがあります。「財→罪」です。「会社の宝だった人財が、会社に悪影響を与える『人“罪”』に変化することもある」そうです。
「人罪」は変化する環境に対応せず(できず)、古い価値観で固まって若手の自由な発想を押さえつけるような人材です。
いま会社の中核を担う方も過去、若手時代に「メンドクサイ」上司に振り回された経験があると思います。いま、同じようなことをしていませんか?常に新しい情報、知識を吸収し脳のアップデートをして、時代に対応した考え方で行動をしてください。
人“財”であれ!
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