■ たまには戦術を語りましょう。
私はコンサルタントをしていますので基本的に戦略、フレームワークの提示を仕事としています。
「御社にはこんな考え方が使えそうです」
「現状取り組んでいないのはこのフレームワークです」
などなど。
そしてその戦略やフレームワークを用いてお店で共に「具体的な戦術」を考える展開が仕事の進め方となります。
取り組むべき戦術、つまり具体的な手法や方法は個々のお店でやはり違うものですから、こういった「記事、コラム」でその手法をお伝えするのはなかなか難しいものがあると思っていました。
しかしやはり今置かれた現状、つまりコロナ禍、客数減少、イベントと入替に効果が薄い現状ではどうしても「具体的なことが聞きたい」というお問い合わせを多くいただきます。
これまではそういったときには必ず訪問して、もしくは今ならZoomを活用してヒアリングをして個々に合わせた具体的手法のアドバイスも行うのですが、最近は多くのお問い合わせで「同じようなアドバイス」をする場面が多かったので、今回は簡単に「戦術、手法」について書かせていただきます。
■ 究極にやるべきことは「出すこと」
営業の現場としてやるべきは「お客様の求めることを追求すること」、これに尽きます。
では「お客様が求めること」とはなんでしょうか。
・新台
・機種構成
・設備
・立地
・接客
・出玉
いろいろな意見があると思いますが、「究極」と言えばそれは「出玉」となるでしょう。もちろん異論もあると思いますが、以下の例で考えてみてください。
A.まったく出ないけど、接客がいいお店
B.接客は良くないけど、出るお店
またその他の項目でも確認してみます。
A.好きな機種があるけど、出ないお店
B.好きな機種はないけど、出るお店
A.設備がいいけど、出ないお店
B.設備は良くないけど、出るお店
A.新台が早いけど、出ないお店
B.新台は遅いけど、出るお店
いかがでしょうか。すべての質問で「B」を選ぶ人が圧倒的に多いと思います。「出した方がいいのか、出さない方がいいのか」、この二択で迷う人はいないと思います。
■ 「出る」ではなく「出そう」
「そんなことはわかっている。でもできないから困っている。」、そのように思う方もまた多いと思います。
しかしこの「出る」というのは基本的には「お客様一人ひとりの主観」によります。実際に「出る」体験以外にもそのお客様の主観に「出るお店」という認識を持ってもらうような戦術を実施すればよいはずです。
<参考>
「出そう、出なさそうの違いはどこから?」
https://www.ab-c.jpn.com/213
「出る」というよりも「いかに出そうなイメージを創るか?」が重要であり、その意味で「出す」ではなく「出そうと思わせる」施策が必要だとわかります。
■ 実際のアドバイス内容
ここで実際に行った最近のアドバイスを記載します。
・過去にセオリーと言われた「放出は集中、回収は分散」は、今は通用しない。
→今は出方がばらつくスペックばかりなので、お客様は「いつも回収」というイメージになりやすい。
→今は「放出は集中、回収も集中、平常は平常」。
→もっと平常営業の出し方を重要視する。
・出す日は必ず出す、そのための財源確保のときには絶対に取る。
・アウト目標を必ず立てる。その際は「その根拠」を持つ。
・機種ごとの使い方を再確認する。機種ごとの「結果論的な”玉粗利“」ではなく「論理的な積み上げで創れる”アウト“」を重視する。
・新規ではなく(今、来店されている)既存顧客を重視する
・やり続ける。
もちろん、特に重要なのが「やり続けること」です。
■ 営業と経営の分離
しかしまたまた、「そうはいっても利益が必要」という意見もあると思います。これについては以下の考え方が必要です。
この半年間、ほぼすべてのお店で業績を落としましたが、ここでいろいろなお店を見て、また相談に乗って大きく2つの傾向(違い)を確認しました。
A,経営と営業(店舗)が一体化している会社
B.経営と営業(店舗)が分離している会社
一見Aの会社の方がよさそうです。しかし結論はそうではなく、Bの分離している会社の方がその落ち率は少ないものでした。
こういった「一体化」は理念やビジョン、目標の一体化ならいいのですが、今回のコロナ禍における急激な業績悪化ではお店が会社に忖度して利益率を上げて対処するような一体化は内向きのベクトルとなり、外向き(お客様)に意識が向かずに顧客離れを加速してしまいました。
経営と営業の分離というのは、
・経営は経営の仕事をする
・営業は営業の仕事をする
と、明確にその業務の範囲を分けて考えるものです。経営の仕事は資金繰りを考えること(行動すること)、営業の仕事は顧客の求めることを考えること(行動すること)とすることです。特に経営が「営業の現場に安心感を持ってもらうこと」に努めた会社は、一時的に利益の減少とアウトの減少(アウトの減少は全国同じですが)はあっても、その後の回復基調に明らかな違いがありました。
■ 戦術(施策、手法)にはその根拠となる戦略が必要
今回の「手法」に関するコラム、それらにはしっかりとした根拠となる戦略があります。やはりやみくもに手法を追うのではなく、その根拠が必要です。
・マーケットイン的思考
・顧客生涯価値
・集中化戦略
・トップマネジメント、ミドルマネジメント
今回挙げたこと以外にもまだまだできること、手法はあります。個別に相談も受け付けていますので、お問い合わせをお待ちしています。