最近よく聞く「 オンライン疲れ 」という言葉。どういった症状を表していると思いますか?
新型コロナウイルスの影響で最も変わったことといえば「オンライン化の進展」だと思います。
そしてその中でも最たるものが会議、ミーティングのオンライン化。オンラインなら移動時間や資料の準備工程の削減につながり、また参加者同士の無駄話も減るので効率がよく進行できることがわかりました。もちろん参加者同士のリアルのコミュニケーションが不足しがちではありますが、それもこれまた別のオンラインツール(LINE、メッセンジャー等)の活用で補えています。
社内や所属するコミュニティでのコミュニケーションがやや苦手だった人にとっては「会わなくて済む」気軽さ、リアルコミュニケーションが好きだった方にとっても逆に「会わないからこそ、頻繁にLINE等で連絡を取り合う」ことが増えて、実は人と人とのつながりは増えています。
しかし最近、「Zoom疲れ」なる言葉が言われ始めました。またこの言葉を聞いたことがなくとも「オンラインは疲れるな」と感じている人は多いでしょう。
そう感じていること、おそらくその感覚は間違っていないと思います。実は日本よりもオンラインコミュニケーションが進展している欧米諸国でもそのような声はかなり前から出ていて研究も進んでいるそうです。
では、なぜオンラインでのコミュニケーションはリアルよりも精神的、体力的な疲れを発生させるのでしょうか。
■ オンライン疲れ の理由、それは身体的な要因がとても大きい
1.物理的な行動がないから
例えば1時間の会議があるとします。
この時リアルの場であれば15分前には会議室に到着して準備をしたり雑談をしたりと、なんだかんだでバッファ(緩衝、余裕)があるのです。
また会議中も発言者のほうを向いたり視線を資料に落としたり、(あまりよくないですが)横の出席者とヒソヒソ話をしたりといった、「身体を動かすこと」をしています。
しかしオンラインでは基本的に座りっぱなしで画面を凝視します。資料も画面で確認が多いのでそれこそ全身が同じ方向をずっと見続けることになるのですから、身体は硬直してしまいます。
さらにオンライン会議は時間的、空間的な距離をなくしているので、これが逆に「時間ギリギリ、目いっぱい使う」傾向につながっています。
このような傾向から隙間時間、余裕時間をなくし、リアルの場であれば意識せずとも存在するリフレッシュの機会を奪っていることになっています。
また「自分の仕事をしているときと会議で『移動』という切り替え(行動)がない」ことも疲れる要因となっています。
オフィスワークではパソコンでの作業と会議室での会議では移動を伴い、座る姿勢も場所も変化しますが、オンライン会議では自分の仕事をギリギリまでこなしてそのまま同じ姿勢と同じ場所で会議が始まります。作業も会議もずっと同じ姿勢、場所、視線となるので変化がなく、当然背中や肩に疲れが溜まってしまいます。
2.全員が見える、見られているから
オンライン会議では全員の顔が見えます。ということは逆に自分も参加者全員に見られていることになるので、どうしても「カメラにいい映りでいなければ」と思ってしまいます。
通常の会議であれば、例えば10人くらいの出席している会議では発言していないとき自分は「その他大勢の一人」にしかすぎません。
しかしオンライン会議では常に参加者全員が目に入るので、参加態度もリアルの場以上に気を付ける意識が働きます。
■ 発想の転換をしよう
上記のこと、自分自身が「そう思う」ならば発想の転換をしてはいかがですか?
・会議がギリギリでも間に合う、ではなく余裕をもって入室してリラックスして待機する
・ギリギリまで話すのではなく、余裕をもって終わらせる
・資料は別のモニターもしくは印刷して用意し、画面凝視をしない
上記は参加者視点の転換ですが、議長やファシリテーター視点の転換も必要です。
・30分~40分程度で休憩をはさむ
・画面オンを強要しない
・ブレイクアウトルームを積極的に活用する
参加者に「動き、変化」をしてもらう取り組みが必要です。「ヒトの集中できる時間が90分」と言われますが(だから大学の授業時間は一コマ90分らしいです)、オンラインでは体感的に45分が限界でしょう。それはこれまで述べた通り身体的な環境の違いからだと思います。
使いこなせれば非常に効率性も能率も上がるオンライン。しかしあまりにそれらを追求しすぎて逆に疲弊するのでは本末転倒ですね。
まだまだ社会の変化は始まったばかり。「こうあるべき」というような同調圧力などはねつけてどんどん変えたほうがいいことは変えていきましょう。
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