「 共感回路 」という言葉をご存じですか?
読んで字のごとく「共感する、脳内の回路」ということで、この能力が高いとコミュニケーション能力が高いとされて、仕事もプライベートも充実していくと言われています。
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仕事を効率的に進めるには何が必要だろうか。
その一つの答えがITおよびICTだろう。対面で打ち合わせるしかなかった時代から電話が登場し、遠隔地でのやり取り機会が飛躍的に向上した。移動中のやり取りのために携帯電話、リアルタイムのやり取りにはEメールやチャット、さらにイントラネットにインターネット。仕事(だけではなく生活全般)の効率性はこれらのツールで飛躍的に高まった。
しかしそれらを扱うのはすべて「ヒト」である。
ツールはあくまでツールであり、それらを扱うヒトそのものがどのような考えでどのように使うかによって、それらツールの効果、効率性は違うものである。
だからこそ、ツールの効率性が高まってなお、ヒトはヒトをよく観察しようとする。「本当にコイツは使えるのか?」と。
■ 相手を知るためには接触の機会を持つ
「ゴルフは人間性が表れる」
「麻雀は性格が出る」
よく聞くセリフだ。さらに別の人はこうも言う。「食事を共にすることで育ちや考え方がわかる」と。
仕事は相手がいて、仮にフリーランスであったとしてもその業務の多くは他者の協力を必要とする。仕事は一人では完結しないものであり、しかして仕事の場では相手の表面的なところしかわからない。その場限り、1回限りの仕事の関係ならばその仕事が順調に進んでいる限りそれで問題はないが、多くはその後も継続した関係を持ち続ける。
そこで仕事以外の接触を図ることで仕事ではわからない「人間味」を感じ取ろうとするのであり、その「仕事以外」の代表例がゴルフであり麻雀であり、食事の機会ということになる。(最近は「麻雀」はあまり聞かないかもしれないが)
仕事以外の接触を持てばいいのだから「相手を知る」には上記3例に限定はされない。しかし社会人となると仕事以外の接触の場が多くは上記3例に集約されることからこのように言われるようになったと思われる。
ともあれ、どれだけITツールが発展しても、仕事を効率よく(円滑に)進めるためには他者と実際に接触することが重要、というのは変わらない。
■ “共感回路”を磨く
さて私自身、仕事仲間や顧客、また見込み客との接点はITツールでのやり取りが大半(というか、ほぼすべて)、そのツールは主にメールやLINEである。これは現代人なら同じだと思う。
しかし、やはり生身の人間と会うことで相手を知る情報量はケタ違いに多くなる。ヒトは非言語でのコミュニケーション(マーケティング用語としては「ノンバーバル・コミュニケーション」という)、つまり言葉のやり取り以外からの情報のほうが相手に伝わりやすいとされ、その観点から言っても実際に会うという行動は「発する」言葉ですらない文字だけのやり取りでは得られない多くの情報が相手に伝わるし、自分も相手の情報を得られる。実際に会うことでこそ、相手をより深く知ることができるのである。
仕事の協力者、さらに顧客との信頼関係を向上させることが、ITツールを充実させるよりもはるかに業績の向上につながる。だとすればそれら周囲のヒトとの、言ってみれば「共感回路」を向上させることが最もシンプルで、且つ強力な「ツール」ではないだろうか。
そして共感回路を最も効率的に磨く手法が、「直接、会う」ことである。
■ ビジネスにおける最強の競争力
顧客を動機づけし、喜んでお金を出していただく。また自分の世界を表現し、事業パートナーと共に進化し続ける。そのために必要なことは「相手のことを考えること、その総量」である。自分が相手(他者=顧客またはパートナー)のことを考える総量に比例して、相手の動機付けは増加するのである。
考えに考えている人は、(当たり前だが)考えている総量が大きい。考えることに使っているエネルギーが違う。だからそこから生み出されるモノの力が違う。そして考えに考えている人は考えることをやめない。だから持続力が違う。他者はそこに魅了される。
こういった経験はないだろうか。
大好きな人、お世話になった人、そんな人を喜ばせようとしたときには相手の気持ちを読み取ろうとし、考えに考え、具体的なプランを組み立て、行動したという経験。ビジネスも同様である。「相手のことを知ろうとし、考えに考える」、これがビジネスにおける最強の競争力となる。
仕事に限らず日々の生活において他者(相手)のことを考えない者はいないだろう。だからこそこのような思い、人間性は他者(相手)に伝えなければいけない。そしてこの思いを伝える最強のツールであり源泉なのが「会うこと」なのである。
どれだけITツールが進化しようとも、それを扱うヒトの行動、人間性がビジネス(だけでなく生活全般も)での成功のカギになる。相手、他者の心をつかむのはツールを使いこなすことではなく、人間性を磨くこと。
仕事を効率的に向上させる(生活を潤うものにする)には考えることの継続が必要であり、そしてそのことを(考えていることを)相手に伝えるためには「会う」、接触の機会を増やすことが重要である。
新型コロナウイルスの影響で人と会うことに制限がされている現在だからこそ、改めて「会う」ということの重要性を認識してほしいと思う。もちろんその際には感染予防対策には万全を期する必要があるが。
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