中間管理職 はなんのため?
ミドル層、つまり中間管理職って何のためにいるのでしょうかね?
現場で売上(利益)を作り出すわけではなく、かといってトップとして全体の方向性を示すわけでもなく。
なんとなく、現場からもトップからも「なんのため?」と感じている方もいると思います。
■ ”中間”の排除
「卸の中抜き」という言葉を聞いたことがありませんか?
要は直販に近いことで、できるだけ中間の業者を排除してその分価格を抑える流通手法です。
中間業者を排除するとその分の手数料が必要なくなり、製造(メーカー)は価格を下げずにこれまで通りの利益を確保(または若干価格を上げることもできる)し小売り業者も同じ利益か多くの利益を取りつつも、消費者は同じ商品を安く手に入れられます。
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もちろんこうした手法を取るにはメーカー自身で流通販売経路を整備する必要があり、これまでではなかなか難しい面がありました。
しかし現在はインターネット時代となり十分にこのシステムが可能となっています。代表的な例ではデルコンピュータが挙げられますし、メーカーでありませんがアスクルも同じ手法で躍進しました。
「これは素晴らしいシステムじゃないか」
誰もが思うはずです。
しかしそれほどこのシステムが浸透しているわけではなく世の中の圧倒的多数は卸、代理店経由で商品の流通が行われています。
その理由の一つには『これまでの商慣習』がありますね。なかなか中間業者を排除しづらい現状があるのです。
しかし最も大きな理由は卸業者の強み、つまり「情報と販売網を持つ」ということでしょう。
メーカーもそのことを理解しているからこそ、従来的取引、流通網を活用しているのです。
■ 「川の上流の立ち位置」が、うまく活用すべし
さて、冒頭の話(ミドル層の役割)はこの関係に似ています。
経営 メーカー
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管理職 卸業者
↓ ↓
現場 小売店
という関係です。
「ほんとに老害!現場のこと何もわかっちゃいない!いつまでも昔話ばっかりして!今はアンタらの時代とは違うんだよ!」
会社で上司にこのように思ったことはありませんか?
「使えない(と、現場に思われている)上司を排除して、もっと会社の風通しを良くして、無駄な経費を削減すればこの会社はもっとよくなる!」
こう考えたことがあるはずです。
確かにそういった「使えない管理職」がいることも事実ですが、では本当に彼らがいなくて会社が回るか?というと必ずしもそうではないはずです。
・知識
・経験
・人脈
・情報網
年齢と社歴、業界歴を重ねたからこそ得てきたものを持っているから、現場を統括する管理職になっているはずです。
要は彼ら(=管理職)をうまく活用できていない、現場に浸透させることができていない会社(経営層)に問題があると考えられるのです。
■ 責任と義務と、成果
会社においての「責任及び義務」とは、各々に与えられた役割を100%果たして成果を作り出すことです。
経営層の責任と義務は、会社の業績を上げて社員の幸せを実現することです。
現場の責任と義務は、会社の立てた方針、目標に沿って行動し、期待された成果を出すことです。
ここで「卸の中抜き」ではありませんが管理職がなかったとします。
経営層は現場の諸問題をすべて把握して、それぞれに細かい指示とサポートが要求されます。
比較的小さな組織ならこれも可能ですが、大きな組織になるとこれは現実的な業務とは言えなくなります。
その時に経営層をサポートするのが管理職に求められる責任と義務となります。
このことをシッカリと示し、管理職をうまく活用することも経営層の責任と義務に含まれます。トップ層、ミドル層、フォロワー層という階層を整備する、会社全体がうまく機能するように導かないといけないのが経営層なのです。
流通に例えるなら「卸業者の強みを活用する」ということでしょう。
■ ミドル( 中間管理職 )は必要、ただしそれはトップが示すこと
「卸の中抜き」ならぬ「ミドルの中抜き」、これが機能するのはトップが全体を管理できる場合のみです。しかしそんなことをしていてはトップがトップとしての仕事に集中できません。だからこそ管理職がうまく機能することが経営層に求められます。
管理職をうまく機能させれば現場は必ずうまく機能します。
管理職が機能している会社は空気(雰囲気)も業績も高くなります。
いま会社の空気がよくないと感じているなら、それは経営層が管理職をうまくサポートできていないということです。
ミドル層は経営層を補佐し、現場がより多くの能力を発揮して成果を作り出すための指示、指導、育成が責任と義務です。より効率よく会社を発展させるためにもミドル層=中間管理職は必要な機能です。