毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
皆さん、こんにちは。アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社の林です。今回は「競合が強力に強い場合の対処」をお伝えします。
■ 同じレースをしない
近畿地方のお店の事例です。
このお店は250台程度と小さいながらも堅実にごくごく普通の営業をしてきました。決して稼働は高くありませんがそれでも地元客を中心とした集客でそれなりに営業ができていました。
ところがそのお店の近隣、徒歩5分くらいに新規店がグランドオープンしました。総台数2,000台という超大型店舗です。
そして一回の入替で自店の総台数と同じくらいの台数を導入するという、大型店舗特有のチカラ技で抜群の稼働を取っていきます。
当然自店の稼働もかなりの影響を受けました。
そこで改めて自店の強みや方向性を見つめ直して、ポジショニング戦略をベースにニッチャー戦略を取るという方向性に決めました。
※ポジショニング戦略とは、業績から大きく4段階に分類し各々に最適な方向性を探る戦略。分類は以下の通り。
・リーダー :
NO.1企業。戦略はブランド誇示、2位以下の模倣。
・チャレンジャー:
NO.2企業。戦略はNO.1企業との差別化、独自性誇示。
・フォロワー :
NO.3以下の企業。戦略は上位陣の模倣、同化。
・ニッチャー :
NO.3以下の企業でありながら特定分野でのシェアはNO.1の企業。戦略は超独自路線、超差別化。
「ニッチャー戦略をとる」ということは超のつくほどの差別化が必要です。しかも、「差別化」という言葉は「強み」とセットでなければいけません。つまり他者と違っていたとしてもそれがよい部分での違いでない限り差別化とは言えないのです。
このお店の強みとして挙げられたのは、
・柔軟な思考を持つ社風、風通しの良さ、意思決定スピードの速さ
・数字(計数管理)に強い幹部層
・低貸玉部門の稼働率はNO.1であり活気がある(※稼働人数、地域シェアではない)
でした。
この強みを生かしながらニッチャーとして生き残るには?ということで考えた戦術は次の通りです。
・低貸玉に特化しよう
・前例にとらわれないようにしよう
・近隣、周辺にない営業を選択しよう
低貸玉部門の稼働率がNO.1であることから当然、低貸玉中心で考え、且つ前例にとらわれずに独自性を出す営業を模索し、結論は、
① 2.5円パチンコの導入と1円Pの増台
② 4円パチンコの廃止
③ スロットをなくしてパチンコ専門店
という施策にまとまりました。地域に進出した超大型店がまったく真似できない、全く競合しない分野を目指したのです。
もちろん不安もありました。
しかし当時まだまだ一般的ではなかった2.5円パチンコを実際に視察し、その営業内容を数字面から詳細に検討した結果、「玉単価1.0円前後の営業は時代にマッチする」として進めることにしたのです。
そして、結果的には2.5円パチンコは高稼働を上げ、元々強かった1円パチンコはスロット廃止により台数を増やしたことでさらに稼働を上げることができました。
■ 強みを活かす、集中する
この事例で参考になると思われるのは次の3点です。
① 強い競合とは勝負を避けること(貸し玉料金のステージで勝負を避けた)
② 「○○専門」と掲げて特色を出す(パチンコ専門、低貸玉専門として特色を出した)
③ 「選択と集中」で資本を効率よく活用する(パチンコに特化して、入替資金を分散させなかった)
前々回、前回、そして今回とコンサルティング現場での成功事例を3つ挙げました。
そのどの事例にも共通しているのが「戦術、施策の前に戦略を考えていること」です。
もちろん時代が違えば「戦術」は変わるでしょう。今回の例のように2.5円パチンコを導入したり低貸玉専門にする「戦術」が現在にマッチするか?といえばそうではないかもしれません。
しかし「戦術」はあくまで「戦略を遂行するための手段」なのです。戦略、そして目標を先に掲げてそれを達成するための手段は柔軟にいろいろと考えてほしいと思います。
この連載で一貫してお伝えしていること=「まず、考える。これまでとは違うことを考える。そして実行に移す。」、この流れを常に意識することで、現状から抜け出す最初の一歩を踏み出せるでしょう。
■ 利益と稼働を両立する考え方
-稼働を上げるには、出さなければいけない
-利益を上げるには、シメなけれないけない
この思考は間違っています。
アミューズメントビジネスコンサルティング株式会社では一貫して「利益を増やせば、稼働は伸びる」とお伝えしています。
なぜそう言えるのか?
その答えはこちらをご覧ください。
⇒ https://www.ab-c.jpn.com/8655