さてさて8月!
私も若いころにパチンコ店で勤務経験があり、そのときに上司から「今月はモノ月だぞ!」と教えられていました。「モノ=モノにする」、つまり利益絶対至上主義の月!ということでしょうかね。今風に言えば「繁忙月」です。
私がパチンコ店で管理者をやっていたのは1990年代半ば~2000年代半ばまで。まだまだ古い考え方の営業だったので「8月と言えば利益」という時代ですが、現在はやや志向も違うかもしれません。私自身も「利益確保よりもライト層の取り込みを考えよう」と思う面もあります。
それでも「通常の月よりは利益の確保を進めるべき」というのは同じだと思います。
今回はそういった「しっかり利益!」のときに取りこぼしをしない考え方と実際にすべきことをお伝えしようと思います。来週末はお盆期間、「出すべき時に出す」ための財源確保を進めるための考え方です。
取るべき時に出てしまう?
今回のテーマは「客滞率の重要性」についてです。
割数=売上玉に対する景品玉の比率の計算は、S、B、TS、TY、客滞率の5つのデータを用います。つまり、遊技機メンテナンスではコントロールできない「客滞率」も割数を変化させる要因なのですよね。当然、客滞率が上昇すればその他の項目が同じであっても割数は上がり利益を減らすことになり、逆もしかりで、客滞率が下がれば割数は下がるのです。遊技機メンテナンスを全くしなくても、です。
上記のことは「感覚的には」把握しているかもしれません。しかしこれにしっかりと対応するために計数管理の知識と実践が必要になります。この客滞率、数字で確認をすると結果にかなりの違いになることに驚きます。
ここで図をご覧ください。
これは、遊技機メンテナンス項目は同じで客滞率だけが140%と200%で比較計算した割数です。ざっと見て、メンテナンスを一切しなくても割数が上昇していることがわかると思います。
これを「たった0.3割の上昇」と捉えてはいけません。客滞率の数値はおおよそ平日(140%)と週末(200%)を表したものです。一般的に平日と週末は150%程度の稼働比を示すので、仮に平日稼働が10,000発、週末稼働を15,000発として利益計算をしてみます。なお、条件は「玉単価1.50円、11.0割分岐」とします。
① 客滞率140%のとき
台売上 1.50円×10,000発=15,000円
利益率 (11.0-10.6)÷11.0×100=3.64%
台粗利 15,000円×3.64%=546円
② 客滞率200%のとき
台売上 1.50円×15,000発=22,500円
利益率 (11.0-10.9)÷11.0×100=0.91%
台粗利 22,500円×0.91%=205円
通常、営業では「土日は平日よりも多い利益の確保」を求められます。感覚としては「多少割数が上がっても、稼働の上昇で利益は取れるはず」と思いがちですが、実際は上記計算のとおり大きく減少してしまいました。
また、例えば海物語に関しては「平日も土日も同じで~」という営業施策が考えられます。このときの「同じ」という意味には、
・同じ「利益額で」
・同じ「利益率で」
・同じ「回転数で」
といろいろな意味があります。
「同じ回転数で~」という意味ならば問題はないですが(この場合、利益減少を織り込んだ計画が必要になりますが)、そうでなく「同じ利益額~」にしても「同じ利益率~」にしても全く結果が得られないことになります。むしろ「差し引き」で考えると大きなマイナスです。
※同じ利益額で、と考えていた場合▲341円
※同じ利益率で、と考えていた場合▲614円(3.64%なら819円あったはず)
業績を上げるにはお客様の期待に沿った営業を継続していかなければなりません。つまり「出すべきときに、出す」営業です。
そしてそのためには財源確保として「取るべきときに、取る」営業をしなくてはいけないのです。つまり週末(もしくは大型連休等、「取るべき日」)に確実に取れたお店が強くなります。
いま、自身のお店は商圏で下位に沈んでいるとしましょう。この場合、自店より上位の店舗は「絶対に!」自店よりも多くの利益を上げています。絶対、です。
競合はその利益を例えば入替費用、例えば社員教育費用、販促、広告、そして出玉と還元するから強くなります。これらの根本は「利益があるからできる」のです。
細かい計算をしっかりと行い、取りこぼしをしないようにして、「この先の投資原資を確保する」と考えてください。
稼働優先なのか利益優先なのか?これはどちらも正しい戦略です。
あとは「より優先度の高いのはどちらなのか?」から考えてください。
余裕のあるお店はライト層の頻度アップを優先、厳しいお店はまず原資、です。
ただしどちらを志向しても「取るべきとされている計画通り」に進めるためには今回のコラムにある通り、客滞率を意識したメンテナンスが必要です。
計数管理を効率よく学んでください
データ管理、計数管理を効率よく学ぶためにABC㈱の計数管理研修を活用してください。そのうち[応用編]では基本用語と基礎知識を活用してより実践的な遊技機の運用についてお伝えします。特に日々の営業に関する悩みは計数管理を理解することで解決できることを学んでいただきます。
応用編の最後には、まとめとして遊技機管理の知識を計画に落とし込むための考え方を学習し、日々の営業で活用することができるようになっていただきます。
1.実践シミュレーション
・遊技機シミュレーションの考え方
・シミュレーションの組み立て方
・競合店の遊技機運用を推測する
2.営業への活用
・どうしても割数が落ちないときにどうするか
・体感スタートとHC(ホールコンピュータ)スタートの違いとは
・ベース管理が勝敗を分ける
・玉粗利ではなく玉単価を見る
・客滞率の重要性を理解する
3.営業計画の作成
・年度計画作成のポイント
・月間計画作成のポイント
・機種別計画作成のポイント
・メリハリの考え方
・進捗確認(週間集計)と修正のポイント
詳しくはこちらをご覧ください。
→ https://www.ab-c.jpn.com/keisu_kensyu.html