「目的と目標の違い」を説明できますか?
目的と目標はしばしば交換可能的に使用されることがありますが、実際には異なる意味を持ちます。
「目的」は理想、ビジョン、理念などとも言われ、自分又は企業が目指すべき到達点を関係者(主に社員さん)が共有するために掲げます。
ですが、単にお題目のように掲げて(唱えて)いても実際に行動に起こさなければその目的を達成することはできません。目的の達成には具体的な行動が伴わなければならず、そのときに指針を与えるのが「目標」です。先日のコラムで「As-is To-be分析をしよう」とお伝えしましたが、その「To-be」のための行動を決めるのが目標となります。
まずはそれぞれの定義と違いを確認しましょう。
(1)目的(Purpose)
目的はある活動やプロジェクト、そして大きくは人生や会社の目指すべき到達点などにおける基本的な理由や動機を指します。それは自分、会社が何かをする理由、あるいは何かを達成しようとする意味を示しています。
目的は通常、抽象的で、感情や価値に関連するものであり、それが人々を動かし、進むべき方向を示す力を持っています。
例:
・知識を深めるために学ぶ
・人々の健康を改善するために医療機関を運営する
・地域の発展と共生を図る
(2)目標 (Goal)
目標は特定の要求を満たしたり、特定の基準を達成したりするために設定される具体的なマイルストーン、基準を指します。
目標は通常、具体的で測定可能で期限を持つものであり、それは特定の結果を達成するための具体的なステップやアクションに関連しています。
例:
・年末までに10冊の本を読む
・来年までに新しいプロジェクトを立ち上げる
・月間売上〇〇〇〇万円とする
(3)違い
抽象度からの違いは、目的は一般的に抽象的であるのに対して目標はより具体的となります。
期限については、目標は通常特定の期限を持っているのに対し、目的は必ずしも期限を持っているわけではないものです。
測定可能性で比較すると、目標は通常定量的に測定可能なのに対し、目的は定性的な側面が強く明確に進捗を測ることが難しいです。
突き動かす動機においては、目的はそれ自体が行動を促す内面的な動機になり得ますが、目標はその動機を具体的なアクションに変える役割、行動指針となります。
(4)結論
目的と目標は密接に関連しており、目的は高いレベルの意味や理由を提供し、目標はその意図を実現するための具体的なステップや行動を定義するものとして機能します。「目標は目的を達成するために設定されるべき事柄」なので、目的を掲げたうえで目標を設定するというのが理想的な流れとなります。
■ 具体的な行動こそが、未来を創る
目的はとても大事です。それがないと目指すべき未来が見えない、何のために今の仕事(や、行動)をしているのかの意味がつかめないので、なんとなく毎日が過ぎていく意味のない日々となってしまいます。やりがいが感じられないのでルーティンワークとなり、淡々と業務をこなす毎日は味気ないものになるでしょう。
ただ、お題目として目的を掲げるだけでは意味がないのです。そこに至るための具体的な行動を起こさない限り何も生み出すことはありません。目的(理想、ビジョン)を掲げることは重要ですが、それと同等に重要なのが具体的な行動であり、その行動を起こすために定量的で測定可能な(到達具合を客観的に把握可能な)目標を設定すべきなのです。
■ 目標を掲げることで得られるもの
目標を設定することの重要性は理解されたと思います。目標設定はただのプロセスである以上のものであり、それ自体が業績を形作る強力な力となり得ます。その理由と効果を以下の5点で探ります。
① 情熱的になれる
目標を掲げることは、その目標に向けた情熱を点火するスパークとなります。それはある種の炎を生むことができ、自分を前進させ、高みへと押し上げることができる情熱です。目標に対する情熱は日常生活に新しい色彩を付け、冷静かつ目的意識を持つ方法で進めるエネルギーを提供します。
② 優先順位が明確になる
明確な目標を掲げることで、優先順位が自動的に明確になります。これにより、重要なタスクに集中し、余計な物事を排除することが容易になります。これは目標達成への道のりをスムーズにし、時間を効果的に利用する方法を教えてくれます。
③ 継続力と忍耐力が生まれる
目標設定は、困難を乗り越えて目標に向かって進むための継続力と忍耐力を生み出します。目標が私たちに困難な時期でも前進し続ける勇気を与え、目標に向かって一歩一歩前進する動機を提供します。
④ 目標の達成が達成感と幸福感をもたらす
目標を掲げ、それを達成することは達成感と幸福感をもたらします。これは精神的な満足感を引き起こし、新たな目標設定と成功への道を切り開く自信を与えます。また、達成感は幸福感を引き起こし、ポジティブな心理的効果をもたらします。
⑤ チャンスに敏感になり、必要な情報だけを引き寄せる
目標を掲げることで、私たちはチャンスを見つけ、重要な情報を引き寄せる能力を高めます。これは目標を達成するために重要な情報を集め、利用可能なチャンスにアラートを保つことで、目標に向けた進歩を加速させる助けとなります。
目標を掲げることは成功への道を進む上で非常に重要な工程です。それは私たちが情熱的になり、優先順位を設定し、持続力を育む手助けをし、そして達成感を経験させるための基盤を築くのです。
そして何よりも、目標を掲げることは、私たちがチャンスと情報に対して敏感になり、目的の達成に向けて進む上で必要なすべてを引き寄せる力を高めるのです。
(了)