「利益と稼働は相反しない」—これはパチンコ店の管理者として頭に入れておかなければならない基本的且つ重要な原理・原則です。
「稼働を増やそうとすると利益が減る」とか「利益を増やそうとすると稼働が下がる」などといった見方をしている方も少なくないでしょう。
しかし、そのような見方は利益と稼働を相反するものと捉えているからです。
事実として利益と稼働は両立可能です。なぜなら、「利益の源泉は稼働、稼働の源泉は利益」という関係性があるからです。
なぜそう言えるか?それは利益の計算式を考えることで見えてきます。
利益の計算式はいろいろあります。一般的には、
・売上×利益率
・売上-原価
・販売個数×1個当たり利益
となりますが、パチンコ店では主に、
・玉粗利×アウト(稼働)
という計算で考えます。
(ここで玉粗利とはお客様が打ち込んだ玉1個当たりの利益額を指し、アウト(稼働)はお客様が打ち込んだ玉数を示します)
この計算式が示しているのは「利益を増やすためには玉粗利を上げるかアウトを上げるかを行えば良い」という単純かつ明快な答えです。
それでは、これらの方法を一つ一つ見ていきましょう。
■ 【1つ目の手法】 玉粗利を上げる
玉粗利はアウト1発当たりの利益なので、玉粗利を上げる=お客様は同じアウト数でより多く負けることを意味します。
例えば同じアウト6,000発(1時間の遊技)だとして、
・玉粗利0.20円→1,200円の負け(0.20円×6,000発)
・玉粗利0.25円→1,500円の負け(0.25円×6,000発)
というようにこれまでと同じ時間遊んだとしても負ける金額が増えることが分かります。
これではお客様の負担が大きくなるので稼働には悪影響がでてきてしまい、短期的には利益増加の効果が得られても、長期的には稼働の低下により「玉粗利×稼働」の掛け算の結果としての台粗利が下がる恐れがあります。
上記の計算で言えば、玉粗利を0.25円にするならば稼働は4,800発を下回ると台粗利は1,200円を下回り(0.25円×4,800発=1,200円)、その足りない分を補填しようとさらに玉粗利を上げて、一時的には1,200円を超えてもまた稼働が下がり、どんどん玉粗利が上がるループから抜け出せなくなります。
■ 【2つ目の手法】 稼働を上げる
稼働を上げるということは、言い換えればお客様から支持される状況を作るということなので、
・店内環境を整備する
・店外に自店を訴求する
などの手法が考えられます。
具体的には清掃、接客、ランプ対応スピード、わかりやすい配置、販促、広告宣伝、駐車場整備など「お客様に快適に遊技していただける環境を作ること」となります。
これらは短期的な効果は見えにくいですが、長期的には「お客様の支持を得るための努力」なので必ず効果が出てきます。
利益を増やすためにできることは以上のように2つの方向があります(玉粗利を上げること、稼働を上げること)が、どちらがよりお店の将来のためにすべきことかは明白です。
つまり利益を増やすためには稼働を増やす努力が不可欠であり、だからこそ利益と稼働は密接につながっているのです。
このアプローチは短期的な利益増加よりも、長期的な視点で「お客様の支持を獲得する」という目的に焦点を当てている点が重要な視点です。
利益を増やすためには玉粗利を上げることと稼働を上げること、この2つの方向性がありますが、どちらがお店の将来にとってより良いのかは一目瞭然です。利益を増やすためには稼働を増やす努力が不可欠であり、利益と稼働は密接な関係にあります。
■ 結論:利益と稼働は相反しない
過去の取り組みとしては、遊技機メンテナンスの重視、新台入替、イベント開催などがありましたが、現在ではその効果が減少しています。そのため、利益を増やすためには稼働に焦点を当てなければいけないです。
もちろん「稼働、第一!」という考え方に異論を唱える方はいないでしょう。
しかし現実的な対応ではどこまで「稼働、第一!」を徹底していますか?多くは「新台は低めで~」、「イベント日だけどほどほどに~」、「メンテナンスはいつも同じ~」で営業していると思います。
稼働を伸ばそうとしてやっていることは新台入替とお題目だけのイベント実施、それで稼働が伸びるはずがない!と断言できます。
そうではなく、お店の魅力を伸ばす方向に目を向けてほしいと思います。
玉粗利を「変えない」という前提のもと、遊技機メンテナンス以外の分野でお客様の支持を獲得する取り組みを強化し、稼働と利益の双方を向上させる道を追求してください。
これからの方向性は、「どちらか」ではなく「どちらも」で進めて欲しいと考えています。「利益を上げるためには稼働を上げ、稼働を上げるためには利益を上げる」のです。
今回は利益と稼働の関係を強調し、2つの異なる手法を検討し、その長期的な影響について議論することを目的としています。また、過去の取り組みの効果が減少している現状を踏まえ、今後の戦略についても触れています。それによって、利益と稼働の関係が相反するものではなく、相互依存関係にあるという主張を支持しています。
(了)