■ パチスロ計数管理 執筆開始 「はじめに」
「計数管理」、パチンコに関しては用語や計算式の解説がいろいろなところでされています。このウェブサイトでも「基礎から学ぶ計数管理」として、月刊アミューズメントジャパン誌に連載していた記事を再掲しています。
ところがパチスロに関する計数管理が非常に少ないのですよね。
私自身、このウェブサイトでもパチンコに関しては随時シミュレーションや機種スペックの解説を含めてパチンコ計数管理は多くアップしていましたが、パチスロに関してはまったくと言っていいほど書いていませんでした。
理由はいくつかありますが一番大きな理由としては、
・パチンコは管理する項目が多いこと
にあります。
スタートにベース、BY、T1Y、などメンテナンスで変更できる数値から客滞率や玉単価、玉粗利といった結果的に得られる数値があり、そしてこれらが複雑に割数や出玉率といった出方に関する数値に絡みます。「いかに遊技客の体感的な満足感を向上させつつお店の適正利益を確保するか」、そのためにできることが多岐にわたるので、いろいろな数値の意味とその関係性を理解する必要があるのです。
これに対してパチスロは「できること」が設定の変更しかありません。せいぜい管理するのは(機種別での)設定ごとの出玉率の把握くらいとなっています。
また現実のメンテナンスにおいても、パチンコは理論上のシミュレーション結果をもとにしてスタートやベース(BY)を決めてその通りになるようにします。結果として出ようが出まいが決めた計数数値に合っているかどうかが判断基準です。
しかしパチスロで「計算してシミュレーションをする」という設定担当者(お店)はあまり聞きません。理論上よりも自店の過去データの蓄積から設定の配分を決める、また対処療法的に「出たなら下げる、出ないなら上げる」の作業となっているケースが非常に多いです。お店によってはシミュレーションソフトを活用していますが、そのソフトも自店データの蓄積から配分の提案をしてくれるものであり、理論上というよりは対処療法的なものです。
■ 設定管理といっても設定①ばかりとなっている
2018年6月に始まった6号機時代ではパチスロの稼働が激減し、2000年ごろの4号機時代以来続いていた「パチンコ<パチスロ」という構図が崩れ、台売上で20円パチスロが4円パチンコよりも低くなるという事態を招きました。
当時は5号機末期とは違い「6号機は設定に忠実に動く」とされ、それなりに設定の投入もありました。6号機は射幸性が大きく低下したことで「勝手に出る、暴発する」ことが少なく、低設定だけでは遊技客離れが止められなかったからです。ただしその内容、手法は「対処療法的なもの」というのは変わらずです。(出たら下げる、出ないなら上げる。)
当然、設定管理についてのノウハウがないお店は非常に苦労していました。
そんな中2022年6月の6.5号機登場、2022年11月のスマートパチスロ(スマスロ)登場から市場は大きく変化し、今また20円パチスロの人気が高まっています。
20円パチスロ人気の復活はその「射幸性の高さから」というのは明白です。そうなると出方のメリハリが大きくなって予測が難しいとなり、結果的に多くのお店で設定は「低設定でも出るんだから放置」、「暴発は大変なことになるので避けたいから、低設定のみ」、「打ち替えでお茶を濁す」というものに回帰しました。
これでは「何のために設定が6段階あるのか。」となるでしょう。
■ 「ABC式パチスロ計数管理」を理解しよう
「今は設定①の出玉率が98%程度の機種ばかり、月間計画の粗利益を考えると設定は①しか使えないじゃないか。」
こう考える方もいるでしょう。
しかしこの意見は間違いです。いろいろな設定を使うこと、設定②以上を効果的に使うことで粗利益を増やすことは可能なのです。むしろ「設定を①しか使わない」から適正な利益の確保に四苦八苦しているのです。
この仕組みを理解し実践していくためには、まずはパチスロの計数管理を基礎から理解する必要があります。パチスロ計数管理の基礎項目と基本的な計算、そしてそれぞれの関係性を理解することでその先の実践的な活用ができることになります。
パチンコ店の営業管理で計数、数値の理解は必須です。それはパチンコもパチスロも変わりません。むしろパチスロのほうが、管理項目が(パチンコに比べて)少ないので理解も管理もしやすく、また実際のメンテナンスもパチンコのように技術的なことが必要ではなく、計数の理解が深まれば即実践で結果を出すことができます。
これまでパチスロでは計数管理をあまり重視してきませんでした。それは「設定は①以外ほぼ使えない」というステレオタイプ(多くの人に浸透している固定観念や思い込み)に起因しています。「設定は①以外使えない」という思考です。そしてその思考から現場での行動は同一設定(ほぼ設定①の打ち替え)の打ち替えと、ちょっとした対処療法的な設定変更ばかりとなっています。
スマスロの登場によりメリハリが強い、射幸性の高い機種が多くなりました。だからこそ「出るも出ないも機械任せ、波任せ」の営業から脱却するためにも、「ABC式パチスロ計数管理」をこの機会に基礎から学び直してほしいと思います。
「ABC式パチスロ計数管理」の掲載予定は以下の通りです。
(基礎編) 計算編
目的:パチスロ計数の用語と計算式、それぞれの関係性を学び、そこから設定配分から求められる利益の計算ができるようになる。
【第1回】「出玉率の計算」:出玉率と割数の違い、加重平均という計算 (4/15 UP)
【第2回】「出玉率1%の変動コイン粗利」:出玉率1%で変動するコイン粗利を理解する(4/30 UP)
【第3回】「損益分岐出玉率」:損益分岐出玉率の計算式を理解する(7/4 UP)
【第4回】「利益の計算」:コイン粗利と損益分岐出玉率から利益を計算する(9/11 UP)
【第5回】「設定配分の計算」:設定の組み合わせで変化する割数、利益、IN枚数を計算する
【第6回】「営業計画達成」:計画している割数から要求される出玉率を求める
(実践編) 設定投入編
目的:設定の投入を変えることで業績が向上することを理解する。
【第1回】パチンコもパチスロもゴールは同じ、しかし調整手法は違う (4/16 UP)
【第2回】顧客ベネフィットは新台やイベントではない、設定である(6/4 UP)
【第3回】高設定を使うには(7/12 UP)
【第4回】周辺に強い店があるから、向上可能性が高くなる
【第5回】設定管理におけるKGI、CSF、KPI
【第6回】遊技機とイベントに頼らないパチスロ営業をする
※連載の順序、内容は変更する場合があります。
今回から始まる誌上セミナーで、パチスロ設定は計算で決められるということ、勘や経験則ではなく論理的に決められるということを理解してほしいと思います。
そしてその理解は実践につながり、必ず業績の向上に資することになります。
■ お客様の求めることの提供で稼働と利益は必ず上がる
設定の入れ方を変えれば稼働は上がる
それは新台入替に頼らないで可能である
それはこれまで考えられていた手法からの転換である
それは簡単に可能である
もしも興味があるならこちらをご覧ください。