毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
一年の中で「繁忙月」とされる8月ももうあと少しです。今月ここまでの稼働、売上はどのようなものだったでしょうか。
利益面の進捗がまずまずだったお店はこの後いろいろな施策を展開できます。しかし思うように取れなかったお店はこれから客数が落ち込む時期に取りに行かざるを得ず、厳しい局面が続いてしまうでしょう。
そうなると当然、稼働も思うような数字とならなくなります。こうなると他店がどうなのかが気になってしまうものです。そして私のところにも「このような状況でも好調なお店もあるでしょうから、そういったお店を紹介してください。視察に行きます。」といった依頼もきます。
またちょっとした団体に所属していれば「ストアコンパリゾン」ということで店舗や地域の視察ツアーなどが組まれたりもします。
しかし、私としては「そんなことをしても無意味」だと思います。同じ視察をするならもっと別のお店、別の視点を持つべきだと思います。
ある支援先から、上記のような「いいお店を教えてほしい。」という依頼がありました。私は「見ても何にもなりませんよ。」とお伝えしたのですが、「どうしても」ということで、比較的近場で稼働の良いお店をピックアップしてお伝えしました。
当然、稼働の良い店舗というのは(一部の例外はありますが)総じて立派で設備や機種構成もしっかりしています。また利益率もそれなりに低く設定して営業しています。
そういったお店を視察して表面だけを真似して取り入れても、本質が変わっていなければ何も現状に変化は生み出せません。視察したお店の「本当の強み」を理解できなければ、結局はカネの無駄遣いで終わります。
強いお店(会社)がなぜ「強い」のか。それは、根本的には「真似ができないところに強みがある」から強いのです。真似ができる部分に強みがあっても、それはすぐに真似されて、差別要因ではなくなり、強みではなくなります。
確かに強いお店は販促や機種構成、店内雰囲気などが立派です。しかしこれは表面的にそうなっているのではなく、お店(会社)の目指す方向性(理念、ビジョン)という「一本の芯」があり、それを具現化するためにそのようなお店になっています。
「最新機種や人気機種がしっかりとあって、設備も立地もいいはずなのに・・・」というお店もあります。こういったお店(会社)は、繁盛店の営業を表面的になぞっているだけだからうまくいっていないと思われます。
お店を改革したいのなら、繁盛店の真似をすることではなく「自社の方向性」をしっかりと定義する方が早いです。それが「フォロワーとしてのポジションで生き残る」ならそういったビジョン、もっと上を目指すのであればそういったビジョンを持ち、テーマを持った視察をしてほしいと思います。決して「お店の表面を見る」のではなく、です。