毎週水曜日更新、「 コンサルティングの現場 より 」
このコラムは毎週水曜日に更新します。
このコラムページとは別に「基礎から学ぶパチンコ計数管理(月刊AJ連載)」というページがあり、そこではアミューズメントジャパン誌に連載していた記事(全32回)をアップしています。
内容は、
・基礎:基本用語と計算式の理解
・応用:基礎編で理解した計算式を使っての遊技機シミュレーションの組み方の理解
・実践:日々の遊技機管理や放出タイミングの設定、月間進捗管理の理解
といったものでなかなかのボリュームがあります。(汗
そこで今回から4回に分けてこの連載記事を基にした「計数の考え方」をお伝えしたいと思います。
初回はホールコンピュータのSと体感スタートについてです。
遊技機の状態を管理する数値はいろいろありますが、その中でも代表的な数値に「アウト100個あたりの回転数」を表す「S(スタート)」があり、この数値を基に遊技機メンテナンスをしているお店は多いと思います。
しかし最近はこの数値だけではなく、遊技客目線での回転数管理として「1,000円スタート」も重視するお店が増えてきました。理由としては「1,000円あたりの回転数はベース値の影響も加味されるので、体感的な遊びやすさを総合的に確認できるから」という意見が多いです。
さてこの1,000円スタート、ホールコンピュータのS(スタート)値から計算ができることはご存知でしょうか。これはそれぞれの用語の意味(意図すること)を理解することでつながります。
・S(スタート)値・・・アウト100個あたりに何回転するか
・1,000円スタート・・・1,000円あたりに何回転するか
ということなので、要は1,000円で遊べる玉数がカギとなります。
① ホールコンピュータのS→1,000円スタートへの変換
例えばS5.80、B12.0%だとします。ベースが12.0%ということはB%(吸い込み率)が88%ということであり使用する玉が88%の割合で減っていくことになります。使用する玉数は250玉(4円パチンコ、1,000円分)なので、
250個÷88%≒284.09・・・個
つまり1,000円で約284個遊べるのですから、
5.80回×2.84(分)=16.472回
ということで、1,000円スタートは約16.5回というように計算できます。
② 1,000円スタート→ホールコンピュータのS
例えば5,000円の試打で以下のような結果だったとします。
・回転数 83回(スタート入賞口賞球1個)
・他入賞 30回(賞球3個)
・オーバーフロー なし
以上の情報から総払い出し(セーフ)を求めると、
83回×1個+30回×3個=173個
となり、5,000円分の貸玉と払い出された玉すべてを打ち込むのでアウトは、
250個×5+(83回×1個+30回×3個)=1,423個
となります。
つまり「1,423個の玉数で83回転させた」のですからS値は、
83回÷1,423×100≒5.83274・・・回
となります。
なお、上記計算からB(通常時の出玉率)も導き出せます。
出玉率=セーフ÷アウト×100
セーフ=払い出し=83回×1個+30回×3個=173個
アウト=打ち込み=250個×5+(83回×1個+30回×3個)=1,423個
173個÷1,423個×100≒12.157・・・%
①の変換を使えば、例えば自店のホールコンピュータ回転数から遊技客目線の体感スタートを測ることができ、また逆に②の変換では他店調査の時の回転数からホールコンピュータの回転数とベースを導きだして、競合店のメンテナンス状況の把握も可能です。
ただしここで間違ってほしくないのは「1,000円スタート“も”重視~」ということです。体感的な遊びやすさを確認する指標としては便利ですが、2つの指標(スタートとベース)を総合的に見ることになるので自店の遊技機メンテナンスでは活用は少々しづらい面があります。あくまで「確認のため」と考えてください。
今回は2種類のスタート指標の関連を見ましたが、これらに限らず、計数管理の項目はすべてが連動しています。次回も重要な指標とその活用方法についてお伝えいたします。