リンゲルマン効果 とは
■ 人出は要請通りには減っていない
4/7の7都府県、4/16の全都道府県に発令された緊急事態宣言、その効果が試されることになった先週末の各地の人出について、NTTドコモよりデータが公表されました。
~中略~
ドコモは七都府県の主要駅周辺のデータを政府に提供し公表していたが、調査の範囲を全国に広げた。分析は十八日午後三時時点の人出データを一月十八日~二月十四日の平均と比較。今回は土曜日を対象としており、平日では異なる傾向が出る可能性もある。十八日は地域によっては悪天候の影響もあったとみられる。ドコモは携帯電話の位置情報を基に駅周辺などにいる人口を計算した。
(人出の減少、地域で開き 宣言拡大後、3~85%減 ドコモ全国分析:東京新聞Web)
このデータによると先行で緊急事態宣言が実施された都府県では減少率が高い一方、地方都市の特に観光地を多く抱える自治体では減少率が低くなっています。
これはいわゆる「コロナ疎開」と言われているもので、「屋外の観光地なら大丈夫」と考えて都市部の人が地方に向かってしまったからだと思います。
【新型コロナ】「3密」避け鎌倉へ? 休日に渋滞、混雑 GWは…(ページ削除によりリンク切れ)
さて、これら上記2つの記事は休日の人出に関する記事ですが、その後の平日に関しても都市部ではやはり人出は目標通りには下がっていません。目安となる全国各地の人出(20日時点)はいずれも8割減には届いていないとのことです。
<新型コロナ>都市部、人出8割減届かず 緊急事態2週間 連休明け解除困難か
移動の自粛を要請されていても休日に移動してしまう人、出勤を減らすよう要請されても出勤してしまう人、どちらも個人個人ではそれなりの理由もあると思いますが、実はその根底にはある思考、行動の特性が関係しています。「リンゲルマン効果」と呼ばれる特性です。
■ 集団になると責任感は薄れてしまう、それが リンゲルマン効果
「ある作業を一人で行うときよりも複数で力を合わせたときの方が、一人当たりが出す力は減少する」
これをリンゲルマン効果、またの名を社会的手抜きと言います。
20世紀初頭のフランスの農学者マクシミリアン・リンゲルマンは、
・綱引き
・荷車を引く
・石臼を回す
などの集団作業時の一人あたりのパフォーマンスを数値化した。
実験の結果、1人の時の力の量を100%とした場合、
・2人の場合は93%
・3人では85%
・4人では77%
・5人では70%
・6人では63%
・7人では56%
・8人では49%
と1人あたりの力の量は低下した。
リンゲルマンは集団が大きくなるほど集団全体のアウトプットと個人のアウトプットの合計の差は拡大するリンゲルマン効果という現象を明らかにした
(Wikipedia:社会的手抜き)
人は集団になると無意識に手を抜きます。
身近な例でいえば、LINEにおいて個別のやり取りやごく少人数(2~3人)ならば返信をするのに、10名以上のグループへの投稿では既読スルーが多くなることが挙げられます。
このリンゲルマン効果が発生するのは、
① 集団の中で自分が目立つ可能性が低い(大集団)
② 優秀なチームに所属しているので自分が努力しなくても成果が出る
③ 優秀でないチームに所属しているので努力が馬鹿らしくなる
④ チームの人数が多いことで緊張感が低下してパフォーマンスが落ちる
の4つの形態からだとされます。
■ リンゲルマン効果 は仕事においても発生する
なお、このリンゲルマン効果は普段の業務でも見られます。
チームで動くような業務の場合、どうしても「2:6:2の法則」で動きが鈍くなる人が現れます。
※2:6:2の法則・・・集団になると働き者20%、普通の働き60%、動かない人20%になる法則
対策としてはメンバーそれぞれに細かく業務や役割を与えて責任感を意識させることが有効です。
■ 未来を創るための行動をしよう
さて今回の自粛要請下における個人の行動です。
「政府の要請もわかる、でも少しくらいいいだろう。」
このように考えてしまうのでしょう。上記4形態の①、③、④が該当すると思われます。
リンゲルマン効果は「社会的手抜き」です。
新型コロナウイルス拡大阻止には一人ひとりの行動の積み重ねが求められます。
「自分くらいはいいだろう、少しくらいはいいだろう」という意識を捨てて、できる限りの接触自粛をすべきだと思います。
政府は「人と人との接触を80%減らす」という目標を掲げています。
また大阪府の吉村知事は4/7の会見で、
「2週間後はもう決まってしまっているけれど、その後の未来は自分の行動次第で変えられる。」
と述べられました。
この先の未来を創るのは今、その方法は「一人ひとりの意識を高める」です。
(了)