■ 2度目の 緊急事態宣言 を考える
「日本国内で初めて新型コロナウイルスの感染者が出た」という報道からもうすぐ一年、当時はまだ「やばいかも」くらいの認識で比較的のんびりしていたように思います。
その後日増しに感染者数の拡大がみられ急速に世間が新型コロナウイルスの脅威にさらされていきました。
私がこのサイトのコラムで初めて新型コロナウイルスを取り上げたのが2020年3月5日付の記事(新型コロナウイルス問題① パチンコ店への影響について)です。
そこから10か月、現在の方がはるかに状況は悪化しており、またこの先も沈静化する様相はありません。
そのような中、2020年1月8日に関東1都3県において2度目の緊急事態宣言が発令されました。
しかしその内容、メッセージが初回よりもやや限定的だったこともあり、発令後の3連休では政府が描いたような効果が出ませんでした。
そして連休明けの12日、西村康稔経済再生担当大臣がTwitterにて国民に呼びかけを行いました。
しかしその西村大臣ののツイートが荒れています。
#緊急事態宣言 後の三連休最終日ですが人出が減っていません。夜だけでなく昼の外出も控えてください。気温も湿度も低く、感染拡大しやすい状況が続きます。一層の注意をお願いします。昼も含めた不要不急の外出、県をまたぐ移動を含めた不要不急の移動の自粛、テレワーク7割を是非ともお願いします。 pic.twitter.com/v2YXD2vhiL
— 西村やすとし #不要不急の外出自粛を NISHIMURA Yasutoshi (@nishy03) January 11, 2021
以下、転記します。
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西村やすとし#不要不急の外出自粛を@nishy03
緊急事態宣言後の三連休最終日ですが人出が減っていません。
夜だけでなく昼の外出も控えてください。
気温も湿度も低く、感染拡大しやすい状況が続きます。
一層の注意をお願いします。
昼も含めた不要不急の外出、県をまたぐ移動を含めた不要不急の移動の自粛、テレワーク7割を是非ともお願いします。
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そしてすぐにこのツイートに対して、
・「昼の外出を控えて」など聞いていない
・夜が早く閉まるなら日中が増えるのは当然ではないか
・20時までならOKだと思っていた
というような反論が集まる事態となりました。
ここで改めて2度目となる今回の緊急事態宣言の中身を確認します。
【基本的対処方針の概要】
これまでの経験を踏まえ、以下の4点をパッケージとして対策に取り組む
①飲食店の営業時間短縮
②テレワークによる出勤7割減
③20時以降の外出自粛
④イベントの人数制限
<施設の使用制限等>
• 飲食店等に対する営業時間短縮(20時(酒類の提供は19時)まで)の要請
⇒飲食店(居酒屋・喫茶店等を含み、宅配・テークアウトは除く)
⇒遊興施設等(バー・カラオケボックス等で食品衛生法の営業許可を受けている店舗)
• 飲食店以外の施設(劇場、映画館、集会場、1000㎡超の店舗、展示場、ホテル又は旅館等)についても、同様の働きかけを行う
• 地方創生臨時交付金に設けた「協力要請推進枠」により、飲食店に対して営業時間短縮要請等と協力金の支払いを行う都道府県に対する支援を行う(1日あたり6万円、1か月最大180万円に引き上げ)
職場・出勤
• 「出勤者数の7割削減」を目指すことも含め、接触機会の低減に向け、在宅勤務(テレワーク)やローテーション勤務等を強力に推進
• 事業の継続に必要な場合を除き、20時以降の勤務を抑制
< 外出の自粛>
• 不要不急の外出・移動自粛の要請、特に、20時以降の外出自粛を徹底
<イベント等の開催制限>
• 別途通知する目安を踏まえた規模要件等(人数上限・収容率、飲食を伴わないこと等)を設定し、要件に沿った開催の要請⇒人数上限5,000人かつ収容率50%以下に厳格化※学校については、一律に臨時休業を求めるのではなく、感染防止対策の徹底を要請(緊急事態宣言区域においては、部活動における感染リスクの高い活動を制限)。大学等についてはオンライン授業の効果的実施等を要請。
さて冒頭の西村大臣の発言(ツイート)です。
当初、「基本的対処方針の概要」の内で特に大きく報道されたのが、
・飲食店の20時閉店要請
・20時以降の外出自粛の徹底
でした。
これにより多くの人たちは逆に、
・夜がだめなら昼間に行こう
という思考となり、「昼間のことを対象にしていないのになぜそんなことを”後出し”で言うのか。」と反発しているようです。
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3連休の人出に懸念を示す人もいた。杉並区に住む商社勤務の女性(45)は連休中、昼食を食べに家族と地元の街に出ると、どの飲食店も混雑していた。
「密」になるのを避けて、ハンバーガーをテイクアウトして家で食べた。「『夜遅くの飲食を避けて』とのメッセージが、逆に『昼間なら大丈夫』と思わせてしまっているのではないか。皮肉なことですが」
Yahoo!ニュース「宣言下の連休明け、通勤客まばら 「在宅難しい」の声も」(リンク切れ)
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昨年4月の緊急事態宣言時は、
・初めての発令であること
・基本的に全業種が対象となったこと
から大きな効果がありました。
しかし今回はこの宣言と同時に以下のような報道もあるわけで、「2回目、対象限定」の今回は危機感の創出にはなりきれていないです。
・政府要人の会食報道
・入国制限は緩和措置継続の報道
・東京オリンピック開催方向の報道(※街頭アンケートでは8割が否定的)
・GoToキャンペーン2月から再開予定の報道
等、菅首相の言う「アクセルとブレーキ」のアクセルについての報道。
「経済を守るには回さないといけない」
「感染拡大を抑えるには我慢が必要」
「医療崩壊をさせないためには自粛を」
これらの意見はすべて正しいです。だけどすべての両立はできないです。
だからこそ「強いトップ、リーダー」として決断をしないといけないのに、なんとなくどっちつかず、メッセージ性の弱い発信になってしまっていると感じます。
■ 個人的に思うこと
SNSを見て、また個人的な友人知人と話していても「コロナ、周りに一人もいないし、『なったら』と思うと怖いけどまったく実感はない。」という話を多く聞きます。
これはある意味当然で、例えば全国で最悪の感染者数となっている東京都でさえ累計の感染者数は76,163人(1/11現在)、東京都の人口は約1400万人(R2.6.30現在)なので陽性率は0.54%であり、比率で言えば「約200人に一人」しかいないことになります。
もちろんこれからも累計で増えてはいきます。
しかし当然治癒する人もいるわけで、実は1/11現在で56,551人が「退院等」とされています。
こうなると現在療養中の陽性者は「1400万人中、わずか2万人」となりますから、それこそ感覚的には「コロナの人って、どこにいるの?」状態でしょう。そしてこれが全国最悪の東京ですから、その他の地域では本当に「出会う方が奇跡に近いレベル」になってしまいます。
■ それでも一人ひとりの行動が未来を変える
さて、だからと言って「関係ないね!気にしない!」というのはまた違うと思います。
新型コロナウイルスに関しては、
・薬(ワクチン)が開発途上であり、自然治癒しかないこと
・重症化リスクの高い体質(病気)の方がいること
・感染すると無自覚無症状の状態でも移してしまうことがあること
という性質から通常の”風邪”よりも怖いウイルス性の病気です。
インフルエンザを含むウイルス類は低湿度では空気中を滞留しやすく(付着水分が少ない)、また低温度では生存期間(日数、時間)が長いことが分かっています。
こうなると春~秋に比べて冬は新型コロナウイルスが多く空気中に存在すると考えられるので、私は「すでに市中には新型コロナウイルスがあるのが当然」だと思っています。それが服や壁に付着し、床に滞留し、それらを不用意に触った手で顔や鼻、口を触って感染しているのが最初の感染だと考えます。(その後の二次感染では家庭内が多いでしょう。) そしてこのことが11月以降急速に拡大している理由の一つだと思います。なので、私はとにかく「手洗いとうがい」をこまめにすることがとても大事だと考えています。
緊急事態宣言も必要ですが私は「うがいと手洗い」を徹底することが感染拡大の抑制につながると思っています。しかし最近、少々その啓蒙(励行)が少ないのではないでしょうか。
これから先も当分はコロナによる経済、市民生活への影響は甚大なままだと思います。
その中で一人ひとりがコロナおよび感染について「正しく、恐れる」ことで感染拡大を食い止め、ビヨンド・コロナ(コロナを乗り越える)時代に到達したいと思います。
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